それに、動物が大好きで、近くの公園にヤギが来た時も、「ヤギさ~ん」と叫びながら猛烈ダッシュで走り寄り、自分よりも背の高いヤギを撫で回していました。
驚いていたのはヤギの方でした。
公園で散歩している犬の中にも、撫でさせてくれるボランティアがいるようです。
もっとも、遠足先の動物園で、ライオンの群に向かって、「ライオンさ~ん、こっちへおいで」と叫んでいたのには、さすがに幼稚園の先生方も引いていしまったようです。
庭にいるダンゴムシも大好きですし、動物を怖れません。
それに、気に入ったアニメなどを繰り返し観ることで、先程の「お気に入り丸暗記セリフライブラリー」を脳内に構築しています。
『隣のトトロ』や『耳をすませば』などの宮崎アニメは、彼女のお気に入りです。
先述の如く、そのライブラリーを「おままごと」にも活かし、オリジナルの物語を創作することもできるようになりました。
ですから、発達障害児を抱えた家族の方々の多くがおっしゃるように、発達障害もまた個人の「個性」なのだと思うのです。
彼女は彼女なりに、一般的な多数派の子供たちとは違うスタイルで、個性的な発達のプロセスを歩んでいるのです。
とは言っても、いくつかの精神機能の発達の遅れが「社会的不適応」につながるとすれば、それは確かに不幸なことです。
社会の一員としての能力を身に着ける「社会化」は誰にとっても必要な課題だからです。
遅れを克服するのに越したことはありません。
ただ、そうした能力を身に着けることは、「ゆっくり」でも良いと思うのです。
大人になるまでに何とか獲得できれば、それで充分です。
もちろん、大人になった後でも何とかなるでしょう。
私はと言えば、こうした「個性的」な孫娘が家族の一員になってくれたことに、とても感謝しています。
彼女のおかげで、我が家は楽しい「話題」に事欠きません。
たまには、皆で頭を抱えてしまうような困ったこともありますが、ほとんどは、明るく楽しい出来事ばかりで、笑い話のネタになっています。
それだけでも、彼女の存在意義は間違いなく有ります。
彼女は彼女のままで、既に、充分な親孝行、家族孝行をしてくれているのです。
今回もとりとめのない話にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』より一部抜粋)
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