ナスは毎年挑戦したのだけれども、花は咲くのだけれども実が固くなってしまって、うまくいったためしがない。それで去年からナスの栽培はやめた。キヌサヤは大宮に住んでいる姉に勧められて去年初めて植えてみたけれども、うどん粉病がすごくて、嫌になってしまった。前と後ろの両隣のお宅も、同じ頃キヌサヤを栽培していたのだが、同じようにうどん粉病で真っ白になっていたので、去年はこの辺りでは、うどん粉病の菌(カビ)が蔓延していたのかもしれない。
姉に聞くと、彼女の庭のキヌサヤはうどん粉病になったことがないというので、有病地というのがあるのかしら。私が知る限り、うどん粉病に一番なりやすいのは百日紅(サルスベリ)で、この辺りで見かける百日紅の葉は、たいていうどん粉病に冒されている。人間には無毒なので、うどん粉病に冒された野菜を食べても健康には問題がないが、あまり気持ちがいいものではない。
キュウリは定年になった年に初めて植えて、大収穫だったので気をよくして次の年にも植えたのだが、ウリハムシが大発生して嫌になってしまった。キュウリが成り始めた頃、2・3匹、葉についていたのを発見したのだが、あまり真面目に駆除しなかったのだ。このくらいの数だったら大した被害にはならないだろうと仏心が出て、見過ごしていたのが仇となった。気が付いた時には100匹ほどの大集団になって、キュウリの葉が穴だらけになってしまった。
葉に止まっている大集団は、キュウリの支柱をトントンと軽くたたくと一斉に飛び立つ。それを、大きな捕虫網で掬うのだが半分くらいしか採れない。手で掴むと黄色い汁を出すが、手が黄色になるのを気にしないでどんどん潰す。毎日捕虫網を振って半分くらいは駆除するのだが、もはや手遅れで、次の日には元の木阿弥になってしまう。
それでキュウリの栽培もやめた。実はキュウリにはソラレンという物質が含まれていて、この物質は紫外線の吸収を高めてシミを作るので、朝や昼にキュウリは食べないほうがいい、という話を女房がどこかで聞いてきて、キュウリは夜しか食べないと言い出したので、それもキュウリを作らなくなった一因である。キュウリはぬか床に漬けて、朝食うのが一番うまいので、それがダメということなら、キュウリを作る元気が出ない。
もっとも、最近少し真面目に調べてみたら、多少食ってもシミができるほどの量は摂れないようだ。それでは、来年作ってみるかと言うと、どうも乗り気がしない。ミニトマトは20個ほどできてもすぐに食べてしまうけれど、キュウリが20本も同時にできると、始末に困る。
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