ホンマでっか池田教授が家庭菜園でキュウリを作らなくなったワケ

Organic cucumbers cultivation. Closeup of fresh green vegetables ripening in glasshouse
 

ヤツガシラ(八頭)は私が子供の時の正月料理の定番で、お餅とヤツガシラと青菜のお吸い物を、仏壇やお稲荷さん(庭の隅にお稲荷さんを祀ってあったのだ)にお供えしていたのをよく覚えている。サトイモと同じ種の品種だけれど、大きな親芋の周りにぼこぼこと頭のような子芋がついているのが名前の由来のようだ。鳥にもヤツガシラという名の種がいて、頭に10個くらいの冠羽があり、日本では稀な冬鳥である。私はまだ見たことがない。

それで、野菜のヤツガシラである。ホームセンターで種芋を見つけて買ってきて、庭に植えておいたのだ。どんどん大きくなって葉っぱが茂ってきた。ヤツガシラの茎は乾燥させて芋がらとして保存しておくと、いろいろな料理に使えて便利だと聞いていたので、10月頃芋を掘る前に茎を切って、芋がらを作ったのだ。

茎を根元で切ってまず茎の薄皮をはぐ。爪で引っ掛けて薄皮を剥くのは結構楽しい作業だ。たいした力もかけずにヒュー、ヒューと皮が剥けていくのはなかなかの快感だ。指がアクで真っ黒になるけどね。これを干せば、保存食となる。私は自分で作った芋がらを、毎日少しずつみそ汁に入れて食べていた。1年くらい持つかなと思っていたけど、半年で無くなってしまった。茎を全部切った後、期待を込めて掘り起こした芋は全くダメで、サトイモほどの大きさしかなかった。

ヤツガシラの芋がらは別名ずいきと言う。子供の頃、近所の薬局に「肥後ずいき あります」という看板が出ていて、ガキ大将の悪ガキが、ニヤニヤしていたので、何か怪しい雰囲気がしたのだけれども、大人になるまで、「肥後ずいき」の何たるかは知らなかった。ハスイモというヤツガシラの近縁種の芋がらのことで、同じようにして作り、保存食となる。但し、有名なのは保存食の方ではなく「性具」としての用途の方だ──(メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』2023年7月28日号より一部抜粋。この続きは7月分のバックナンバーをお求めください)

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