サッカー女子のワールドカップでスウェーデンに惜敗した日本代表、通称・なでしこジャパン。テレビニュース等で結果を報じたりと、サッカーファンは大盛り上がりだったことでしょう。しかし、なでしこを応援するテレビ特集がほとんどなかったことに気が付いたでしょうか?今回のメルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、その理由を解説。なでしこジャパン商法終焉の裏側に、あの「電通」の存在があるといいます。
なでしこジャパン商法の終焉
1.日本選手のレベルは上がった
オーストラリアとニュージーランドで開催されているサッカー女子のワールドカップは11日、準々決勝が行われ、日本代表の「なでしこジャパン」はスウェーデンに1対2で敗れた。
今回の日本代表チームは、世界の一流チームで活躍している選手も多く、これまでで最もレベルの高い選手が揃っていた。その日本に勝利したスウェーデンチームを率直に褒めるべきだろう。
今回のワールドカップで特筆すべきは、事前に応援キャンペーン、応援番組等がほとんどなかったことだ。多分、試合後もバラエティ番組等への出演などはあまりないだろう。というより、できないのだ。
前回ワールドカップに優勝した初代なでしこのメンバーは、ほとんどが国内チーム所属していた。国内チームであれば、電通が全てをコントロールできる。テレビ番組のコントロールも、企業を巻き込んだタイアップ広告も電通が仕切っていた。
現在のなでしこのメンバーのように海外の一流チームと直接契約している選手にとって、権利関係が非常に複雑だ。
電通の豪腕をもってしても、簡単にはコントロールできない。日本代表に招集されても、その寸前まで各国でリーグ戦を戦っている。また、ワールドカップで敗退すれば、すぐにレギュラーシーズンに戻るのだ。
従って、盛り上げ番組に出演する余裕はないし、いつまでも余韻に浸っている暇もないのだ。
2.愛称の裏にあるビジネス
なでしこジャパンは、ワールドカップに招集された日本代表チームの愛称ということになっている。なぜ、日本代表チームに愛称が必要なのだろう。日本代表チームで良いではないか。
このあってもなくても良い愛称に実は意味がある。例えば、なでしこジャパンという名称とロゴデザインをすると、そこには権利が生じる。認知度が高まるほど、その権利が堅固なものになるのだ。
テレビ番組を作る時に、なでしこジャパンの応援番組を作るので、協力してほしいといえば、選手も協力しやすい。なでしこジャパンの知的所有権は日本サッカー協会にあっても、ビジネスの契約によって、いくらでも利益を吸い上げられる。そもそも日本サッカー協会にブランドライセンスビジネスや応援グッズの企画生産販売等のノウハウはない。全てのビジネスを電通が生きることが可能になるのだ。
あってもなくてもいい愛称。しかし、あれば、そこに権利とビジネスチャンスが生れるのである。
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電通外しができない構造。電通と喧嘩した筆者の「電通ボイコット案」