死刑制度にも関係する「自己責任論」。現役小学校教諭が持つ“偏らない心”とは

Asian child feeling sad when go to school with mother
 

現代においてアレルギーの出るものを食べないことに「わがまま」という人はまずいない。しかしこれが「好き嫌い」となると話が変わってくる。「好き嫌い」は自己責任なのかという問題である。一方で、作ってくれた相手やフードロスを気遣って我慢して食べることに善悪をつけられるかということもある。これも『不親切教師のススメ』で述べた通りである。

学力の問題は「努力」を中心とした自己責任論で片付けられてしまうことが多い。しかしそうだとしたら、IQも自己責任の範疇なのか。「がんばればできる」と信じることは能力向上に繋がるが、果たしてそれは万人にとって真実といえるか。「がんばればできる」は裏返すと「できなければ自分の責任」ということでもある。このあたりも、バランスである。物事の好き嫌い及び向き不向きは「努力」で無視していい要素ではない。

冒頭の言葉を繰り返すが、人間社会は複雑系である。教育も同様。「こうなればこうなる」「この方法で確実に効果が出る」ということは、ない。一方で「こういう方法で効果が出ることがある」というのは、言える。

複雑系に求められることは、常にバランスである。偏らない心で物事を眺めていきたい。

 

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