4.できたところで弱い者いじめ程度。中国の実力
現在、習近平主席は人民解放軍のクーデターを最も恐れているといいます。人民解放軍では、兵器と弾薬を別々に管理しており、軍事パレードを行っている兵士の銃にも銃弾は入っていません。習近平主席は人民解放軍を完全に掌握しておらず、信用していないのです。
今後、軍の大粛清が行われるのでしょう。しかし、幹部を粛清しても、現場の兵士の信頼を得ることができるのでしょうか。自分の命をかけて、習近平のために戦う人がいるのでしょうか。
習近平主席は、ロシア、ワグネルのプリゴジンの乱に大きな衝撃を受けたといいます。プリゴジンがモスクワに進軍した時、人民解放軍が北京に進軍する映像が見えたのかもしれません。習近平主席は、台湾に出撃した軍が途中で折り返し、クーデターを起こすことを恐れているのです。
私は個人的に、中国政府ができるのは、現在のような、挑発行動や中国より弱い国へのいじめ程度だと思います。あとは、例えば日本と韓国の関係を壊す活動です。米国に対しても、正面から戦うのではなく、米国の大統領選挙に干渉したり、不法移民に混じって工作員を派遣します。
日本に対しても、親中議員や親中財界人に働きかけ、国の分断を図るはずです。
台湾に対しても、台湾侵攻の前に台湾大統領選挙で国民党を勝たせるような工作を行うはずです。
これらの戦い方は、孫子の兵法にも通じており、戦わずして勝つ、相手の意気を消沈させるというものです。
多分、中国が軍事侵攻を行うのは、圧倒的な軍事力の差ができた時です。それまでは、挑発、脅迫、買収等を続け、日本、米国、韓国、台湾の関係を壊すための作戦を継続すると思われます。
中国軍にも通じる中国製造業の特徴。「締めの都々逸」
「整備不良に ヒューマンエラー とても命はかけられぬ」
中国製品の品質が悪いとか、中国工場の生産管理がなっていないという話は耳にタコかできるほど聞きました。また、個人的な経験としても、中国企業は基本的にモノ作りに対する姿勢が甘く、すぐに目先の金儲けに集中してしまいます。人材育成は時間がかかるので、金で買った方が安上がりだという話もあちこちで聞きました。
この中国製造業の特徴は、中国の政府にも軍部にも共通しています。日本なら許されないような凡ミスや、あり得ないような事故が起きるのです。これでは戦争なんてできるわけがありません。
戦争は、とても緻密で計画的、かつ現場の判断が重要な巨大プロジェクトです。この巨大プロジェクトを侵攻するには、緻密な組織と指揮系統が必要です。指揮官と兵士の信頼関係がなければ、軍は機能しません。その昔、日本軍が精強だったのは、日常的に集団行動の訓練をしていたことに通じると思います。それは、基本的には現在も変わっていません。
日本人を本気で怒らせると大変なことになります。それを中国政府に理解していただきたいものです。(坂口昌章)
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