中国新聞の大スクープ。河井元法相「すがっち500」メモが証明する裏金の出どころ

 

誰もが気になる「すがっち」の謎

で、安倍氏は故人なので聞くことができませんが、中国新聞は残りの3人に取材しました。その結果、菅義偉氏は「そんなことあるわけがない」と現金提供を否定した上で、「すがっちと呼ばれていたのか?」との問いには「知らない」と答えました。二階俊博氏に至っては、「そんなことあるわけない」と菅氏と同じセリフで現金提供を否定しただけでなく、こともあろうに「案里っていったい何者なのよ?」と聞き返す始末。

二階氏は、もう83歳というご高齢なので、記憶力の方がアレなのは仕方ないかもしれませんが、自分が広島まで応援に駆け付けた相手の名前も覚えていないなんて、もしかして「ボケ老人のフリ」をして逃げ切る作戦ですか?…なんてソフトなツッコミも入れつつ、結局、現金提供を認めたのは甘利明氏だけ。甘利氏は「陣中見舞いとして100万円を届けた」と認めました。100万円なら陣中見舞いで通りますが、サスガに500万円だの3300万円だのとなると、陣中見舞いという説明は通らなくなりますよね。

ま、それはそれとして、誰もが気になる「すがっち」の謎について、今回は書いてみたいと思います。まず、菅義偉氏が首相に就任した時の看板政策と言えば、デジタル化の推進と縦割行政の打破であり、そのために初の官民一体組織「デジタル庁」を新設しました。そして、顔つきも部下への恫喝も暴力団員のような自民党の平井卓也氏をデジタル大臣に任命しました。

で、その平井卓也氏と言えば、広報戦略が専門の元電通マンで、自民党ネットメディア局長をつとめていた2013年には、携帯電話アプリゲーム「あべぴょん」を開発しました。当時の安倍晋三首相を限界まで「爽やか」にデフォルメしたキャラが、雲や板を踏み台にしてひたすら上空を目指し、到達した高度によって称号が与えられ、得点に応じてバラの花が獲得でき、集めたバラの数によって「あべぴょん」のコスチュームを変更できるという頭の悪そうなゲームです。

この「あべぴょん」というネーミングは、「安倍首相がピョンピョン跳ねる」という意味も踏まえつつ、「首相に可愛らしいニックネームをつけて、JKたちに『あべぴょんてカワイイ♪』と言わせる」という電通仕込みの広報の一環でした。「普段は市民と距離があるように感じられている首相や大臣に、砕けたニックネームをつけることによって、若い世代に親近感を植え付ける」という平井卓也氏の発案です。

そして、この作戦をそのまま流用したのが、菅義偉氏でした。菅氏は2020年9月の自民党総裁選の討論会で、「私のガースーというニックネームは公認です」と述べたのです。その後、首相に就任した菅氏が新内閣を発表すると、デジタル大臣に就任した平井卓也氏は、「新設されるデジタル庁のスローガンは『Government as a Start up』、イニシャルを取ると『GaaSu(ガースー)』になります」と述べて笑いを誘いました。サスガは元電通マンですね。こういうところにもソツがありません。

その一方で、菅氏本人は、首相就任後の2020年12月に出演したニコニコ動画の生放送で、「皆さん、こんにちは。ガースーです」と挨拶しました。しかし、新型コロナの感染拡大が収まらない中で「Go To トラベル」を強行した政策が批判を浴びていた最中(さなか)だったため、「不謹慎にもホドがある!」と全国から集中砲火を食らってしまいました。

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