「カジノ建設」のために大阪万博を“不正利用”か。維新が湯水の如く使う1兆円の血税

 

「カジノ」は呼び水にすぎないという理屈も横行!

統合型リゾート施設には必ず「カジノ」を併設させる──というのには、それなりの理由がありました。

カジノが上げる収益で、全体の施設の整備・運営を賄うためでもあるからです。

たとえば、カジノ成功のお手本とされるシンガポールですが、独立・建国の父と称される故リー・クアンユー元首相は、開発独裁で国を繁栄に導いてきたものの、カジノについてはずっと反対していました。

シンガポールでカジノが解禁されたのは、このリー・クワンユー首相が事実上の政界引退を果たしたあとの2005年のことであり、実際にカジノがオープンしたのは2010年でした(統合型リゾート施設「マリーナ・ベイ・サンズ」、「リゾート・ワールド・セントーサ」の2つが開業)。

シンガポールは、もともとアジアの中核的な国際都市としての自負もあってか、経済的、観光的な地位の低下にはことさら敏感でした。

とりわけ、すでに1930年代からカジノを中心とした観光政策をとり続けてきたマカオ(ポルトガル領から1999年中国返還)が2000年代に入ってから急激に隆盛していくのに、大いに刺激されたともいえるでしょう。

実際、マカオは、中国返還後の本土からの中国人たちの渡航の増加もあって、カジノ収入においては、2006年に米国のラスベガスを抜いて世界一にまで躍り出ています(現在は中国のゼロコロナ政策のあおりを受けてボロボロ状態です)。

そこで、シンガポールもマカオを見習ってカジノを解禁し、観光事業をさらに強化するべく、カジノ解禁・実施へと大きく舵を切ったのでした。

その結果、2つの統合型リゾート施設の開業後の2010年には、シンガポールへの海外からの来訪者数がいきなり前年比20%アップして1160万人となり、その後2019年には1910万人にまで伸びていきます。

また観光収入は、カジノ開業前の2009年の90億ドルが、カジノ開業後の2010年には140億ドルに急伸し、2018年には200億ドルに達し、GDPの6%を占めるまでに到ったのでした。

カジノは統合型リゾート施設全体の3%を占めるにすぎませんが、リゾート施設全体の収益の75~80%を占めているのです。

そして、カジノが占める収益割合は、リゾート全体の成功によって年々下がるともいわれています。

たとえば、ラスベガスは当初全体の7割を占めていたカジノ収益の比率が、今では地域全体の繁栄で、3割程度にまで減っています。

統合型リゾート全体が成功すると、カジノからの税収アップや、国全体の観光収入のアップがもたらされ、国全体を潤すまでの規模で収益が向上する──というわけなのです(シンガポールのGDPは、2010年から2022年までの13年間で2倍に成長しました)。

ゆえに、統合型リゾート施設においては、当初からのカジノの設置が、施設全体を牽引するエンジン役ともなり、ひいては国家収入を増大させるほどの効果がある──というわけなのです

これが、カジノを統合型リゾート施設において、スタート時点からけっして外せない理由ともなっているのでした。

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