さすがは日本。世界最高水準の「ボールペン」を作り上げる技術と努力

 

3.高デザイン高品質中価格の商品

バブル崩壊以前、ボールペンは万年筆と共に、ステイタスを表現するアイテムだった。しかし、バブル崩壊と共に、ボールペンは低価格高性能の商品に集中した。ゲルインキや消えるポールペンなど、技術革新も進み、機能的には世界最高水準に達したと思う。

学生がターゲットであれば、低価格高品質の商品が理想だが、高齢化が進み、大人買いも一般化し、高デザイン高品質中価格の商品が増えている。

そして、パーツの一部を変えることで、更に高級品になる製品も出てきた。例えば、パイロットのフリクションボールノックゾーンは、軸のペン先に近い部分(首軸)の素材を木製やマーブル調の樹脂に変えることで、実用品から高級品までの製品の幅を広げている。これができるのは、基本となるプロトタイプのフォルムが美しいということである。価格は安くても、デザインとしては、世界の高級品として通用するレベルに達しているのだ。

ボールペンは成熟しており、限界までコストダウンを図り、技術革新を進めてきた。その上で、デザインの完成度を高め、バリエーションの拡大が可能になった。愛好家にとっては、コレクションしたくなる製品になったということだ。

そう考えると、日本のボールペンは日本の製造業の強みが結晶化したものかもしれない。

編集後記「締めの都々逸」

「筆を選ばぬ 弘法さえも ボールペンなら 選ぶでしょ」

「欲しいものなんてないなぁ」と思っていたのですが、「突然、ボールペンが欲しい」と思いました。「ボールペンなんて安くて書ければいいんだよ。高級ポールペンなんて意味ないじゃん」と思っていたのに。

実は、自分の字が下手になっていることに気がつきました。小さな文字で自分の名前を書くと線が震えるのです。しかし、新しいノック式のジェットストリームプライムで書いたら、文字がきれいに書けました。まさか、ポールペンを変えると文字が変わると思っていなかったのでびっくり。ペンの重さとバランス、軸の太さ、インクの滑らかさなどが相まって、とても良い感じです。

それで俄然興味が出てきて、欲しいボールペンをピックアップしました。すると、昔、愛用していたポールペンが出てきて、「ああ、まだ現役なんだね」と感じ入ったりして。

どうせ買うなら、「全部ブルーで揃えようかな」なんて思っています。楽しみ。(坂口昌章)

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