稲盛和夫の講演録を一冊の本にまとめてみたら経営論が見えてきた

 

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

非常に移ろいやすく、はかないのも人の心ですが、同時に、人の心ほど、どのような逆境の中でも頼りになるものもありません

私は研究開発とマーケットの開拓とはまったく同じだと思っています。その前例が、養殖真珠をつくられた御木本幸吉さんです。当時は、おそらく天然真珠が全盛の時代だったでしょうし、その中で養殖真珠を世間に認知させるには相当時間もかかり、多くの妨害もあったはずです。けれども、御木本さんが「できる」と強く信じ込んだからこそ、養殖真珠を認知させることができたと思っています

自分の研究には愛着が湧いてきますから、ともすれば、自分の研究のプロセスを正当化しがちな甘い人では、優れた研究はできない

商いの極意というのは、お客様に尊敬されることだろうと私は思います。尊敬されれば、値段がいくらかという問題ではなく、「あなたの会社からしか買わない」と言ってもらえるわけです

フィロソフィとは判断基準です。それは経営陣がもつべき判断基準であると同時に、それを従業員に浸透させていくと、その哲学は会社全体の判断基準となっていきます

ハードネゴシエーションをして買収が決まっていくと、不満が残ります

何かに遭遇して物事を実行しようとするとき、まず自らに「動機善なりや」ということを問いかけ、さらに自分の周辺に「天の時、地の利、人の和」という三要素が備わっているかどうかを考えます

高収益性とは、近未来に起こってくる経費負担に耐えられる度合いを示す

「売上を最大限に」というのは、限界を自分でつくるのではなく、あらゆることにチャレンジして売上を増やしていくということ

会計事務所などでは勘定科目を大きな括りにしているのに、A社はなぜそれを細かくしたのか。それは細かくした勘定科目を見て、経費を最小にするためには、どの経費を減らせば良いのかということを、経営者が見られるようにするためです

登る山によって準備や装備が違うが如く、どういう人生、どういう経営を目指すかによって、その人がもつ「考え方」のレベルはまったく違ってくる

700ページ近い大著ですが、講演録ということで大変読みやすいのと、各トピックのまとめにスペースが割かれているので、読むのはそれほど大変ではありません。

稲盛氏の経営の要諦を一冊で学びたい方に、おすすめの一冊です。

ぜひ、読んでみてください。

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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