「有害図書」の検閲に突き進む中国
そんな言論の自由がない中国でも、国際ブックフェアが開かれているので、驚きです。北京や上海でブックフェアが毎年開催されています。では、どのような内容かといえば、やはりかなり政治色が濃いようです。
たとえば、2021年に開催された北京国際ブックフェアでは、習近平政権が推し進める「一帯一路」の沿線国からの出展が強調され、さらに「中国共産党成立100周年を祝う」「優れた」出版物が集中的に展示されました。
言うまでもなく、このようなフェアに、中国共産党の独裁を批判する書籍が出展されるはずはなく、また民主主義を称揚するような書籍もご法度です。その一方で、「習近平新時代中国特色社会主義思想学生読本」は大絶賛。
国際ブックフェアでは、内外の書籍を多くの国々の出版社や人々が売買する場ですが、このような中国共産党礼賛本を、海外の人々が本当にほしいと思うのでしょうか。海外ブックフェアというよりは、中国共産党礼賛ブックフェアです。
また、香港でもこれまでアジア最大の書籍見本市「香港ブックフェア」を開催してきましたが、2020年に香港国家安全維持法が施行され、事実上、一国二制度が破棄され、多くの言論人が逮捕されるようになってからは、国家安全維持法に抵触しそうな内容の本については、自己規制が強まっており、すっかり言論の自由は廃れてしまいました。
運営側が力を入れて展示しているのは、アグネス・チャンなど、香港政府や中国と良好な関係を築いている「友好人士」のものばかりとのことです。