“猛獣”を手懐けられるか。日本が「第2次トランプ政権」と良好な関係を築く術は?

2024.02.02
 

首相がトランプから「個人的な信頼」を得られるか否かで決まる日米関係

要は、我々が認識しなければならないのは、第2次トランプ政権と良好な関係を構築するには、トランプから個人的な信頼を得る必要があるのだ。そして、それが日米関係の行方を左右するだろう。

第2次トランプ政権と付き合うのは岸田氏ではないかも知れないが、仮に日本の首相が安倍氏のようにトランプと上手く付き合えれば、日米関係は上手くいくだろう。しかし、トランプから安倍氏ほどの個人的な信頼を得られなければ、トランプの中で日本の優先順位が下がることになり、安保ただ乗り論や自衛隊の役割強化、日本製品への輸出入規制などあらゆることで要求を迫ってくる可能性がある。

間違いなく始まる第2次米中貿易戦争と乱れる日米韓の連携

また、間接的な影響も大きくなる。第2次トランプ政権となれば、間違いなく中国との間では第2次米中貿易戦争が始まるだろう。バイデン政権下でも人権や先端半導体などの分野で中国への輸出入規制が強化されたが、トランプはより先制的に貿易制裁を発動していくことだろう。大統領に返り咲けば、トランプは中国からの輸入品に一律60%の関税を掛けることを検討しているようで、第2次米中貿易戦争が激化すれば日本企業への影響は避けられないだろう。

そして、対北朝鮮での連携も大きく乱れることになる。バイデン政権は北朝鮮が核やミサイルで何かしらの進展を見せない限り交渉には応じない姿勢を貫き、対北朝鮮では日本や韓国との連携を強化してきた。しかし、トランプ大統領となれば第1次政権の時のように北朝鮮の金正恩氏へ個人的に接近し、3回も米朝会談を行ったように両国の間で大きな改善が見られる可能性がある。それによって北朝鮮が核ミサイルで大きな進展を見せれば良いのだが、その可能性は未知数であり、いずれにせよ日米韓の3カ国の連携は乱れていくことになる。

image by: lev radin / Shutterstock.com

アッズーリ

専門分野は政治思想、国際政治経済、安全保障、国際文化など。現在は様々な国際、社会問題を専門とし、大学などで教え、過去には外務省や国連機関でも経験がある。

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