さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
ニューヨークマウント
“申し訳ありません、その日はあいにくのニューヨーク出張でして、同窓会に参加することができません”
“ピーター・ルーガー、NYに住んでいた頃によく行きました。ニューヨークで食べる、いつもの味が懐かしいなあ”
“ミュージカル『オペラ座の怪人』の大阪公演に行かれたんですね。私も数年前にブロードウェイ公演にクライアントからご招待いただいたのですが、本当に素晴らしかったです。大阪はどうでしたか?”
仕方なく東大マウント
“もともと音大志望でしたが、親に言われて仕方なく東大を受験することにしたんです”
名門高校出身マウント
“高校では高3の夏までバカばっかやってました。それでも現役で東大に入れたことは、開成の七不思議と言われています”
東大卒否定マウント
“東大卒とこれまでに何度も仕事をしたことがありますが、心の底から頭が良いと思える人はほとんどいなかったですね”
ワイン愛好家マウント
“この生産者さん、とても気さくな方ですよね。シャンパーニュ訪問時には本当にお世話になりました
俗世解脱マウント
“若い頃はブランド品を買いまくっていたけれど、今は家族との幸せな関係性だけで十分。充足感に包まれる日々に感謝”
質素マウント
“上場企業の経営者だった頃は接待漬けで贅沢はやり尽くしたけど、結局、ご飯と味噌汁が一番のご馳走だと思うんだよね”
ゴールドマンマウント
“彼氏がゴールドマン・サックスで働いているんだけど、毎日夜遅くまで働いていて、なかなか会えないんだよね”
「他人と比較するな」論に振り回されるな~人間は何かと比較しないと幸福感を感じられないように設計された生き物~
ピーター・ルーガーのくだりは、同店が高級店であること、予約がなかなか取れないこと、普通の日本人ゲストとVIP客だと通される席が違うことなどが書かれていたら、もっと良かったかもしれませんが、おそらく編集者はそこまでご存じなかったのかもしれませんね。
と、ここまで真面目に書評してきましたが、本当にくだらない本です(笑)。
ただ、それはわれわれ人間が、こういうことで人を評価する、くだらない存在だということ。
本書を読んで、くだらない他者評価をする人に対する防御力を鍛えつつ、同時に自らを戒め、本物になるための自己研鑽を重ねたいものです。
ぜひ、読んでみてください。
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