チェリーピッキングには陥らぬ。ネット時代にこそラジオを聴くべき理由

 

他にも、NHKラジオを聴くとかFMを聴くとかの選択肢もあったけど、あたしは、平日のこの時間帯には、基本はバラエティー番組でも、リベラルな立ち位置のコメンテーターが政治や社会問題などを取り上げるコーナーのあるAMラジオが聴きたかったので、ニッポン放送に引っ越すしかなかったのだ。

…そんなわけで、東京エリアのAMラジオ好きの間では、文化放送のことを「QR(JOQR)」、ニッポン放送のことを「LF(JOLF)」、TBSラジオのことを「KR(JOQR)」と、それぞれの局のコールサインの略称で呼ぶことが多い。でも、それじゃダイレクトに放送局名を言ってるのと同じなので、もうちょっと濁したい時は、文化放送のことを「浜松町」、ニッポン放送のことを「有楽町」、TBSラジオのことを「赤坂」と、それぞれ局のある地名で呼ぶ。

で、何が起こったのかと言うと、あたしが2年前の4月からニッポン放送『あなたとハッピー!』を聴き始めたら、それから1週間、2週間と過ぎて行くうちに、メインパーソナリティーの垣花正さんが読み上げるメールの中に、同じような挨拶から始まるものが散見されるようになって来たのだ。あ、この場合は「散見」じゃなくて「散聴(さんちょう)」かな?(笑)。

それで、どんな挨拶かと言うと、「垣花さん、初めまして。浜松町から引っ越して来た何々と申します」「垣花さん、初めまして。赤坂から引っ越して来た何々と申します」というものだ。つまり、3月までは文化放送を聴いていた、TBSラジオを聴いていた、だけど4月からはニッポン放送に引っ越して来ました、という意味の挨拶だ。

そして、この「浜松町から引っ越して来た何々と申します」の「何々」の部分には、それまで『くにまるジャパン極』で頻繁にメールが読まれてた文化放送のヘビーリスナーたちのラジオネームが読み上げられた。あたしは『伊集院光とらじおと』は聴いてなかったけど、「赤坂から引っ越して来た何々と申します」の「何々」の部分も、TBSラジオの月曜深夜の伊集院光さんの『JUNK 深夜の馬鹿力』で良く耳にするラジオネームが何人もいた。

こういう平日の朝の帯番組って、特に4月の改編後のメールを重要視する。それは、進学や就職などで4月から新生活が始まり、それまでラジオを聴いてなかった人たちが、この春から聴くようになり、どの局を聴こうかあちこちの番組を「試し聴き」してる時期だからだ。そして「初めまして」のメールが読まれると、そのリスナーはリピーターになるため、メールの採用率が高くなる。

その結果、浜松町や赤坂から引っ越して来たリスナーたちの「初めまして」のメールも、次々と採用されたんだと思う。そしてあたしは、『くにまるジャパン極』が終わったことで仕方なく有楽町に引っ越して来たのが、あたしだけじゃなかったと知ったわけだし、それは『伊集院光とらじおと』のリスナーたちも同じだった。

…そんなわけで、TBSラジオ『伊集院光とらじおと』は2022年まで6年間続いたけど、その前の『大沢悠里のゆうゆうワイド』は、28年間も続いた長寿番組で、多くの固定ファンを持ってた。だけど、平日の帯を終了する代わりに、土曜の午後に週イチの枠を設けるという、死語で表現すると「窓際族」的な異動でそれなりの配慮をしたことと、新番組を担当する伊集院光さんも多くの固定ファンを持つラジオのベテランだったことで、この時の改編はギリギリで事なきを得た。

一方、文化放送『くにまるジャパン極』は、それまでの『くにまるジャパン』からのリニューアルだったので、局の方針で政治色が少し薄められたものの「お気楽!野村係長」などの人気コーナーは引き継がれ、特に問題なくリスナーに受け入れられた。

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