目の前で起きた「高級ブランド崩壊」の瞬間。なぜ“産地偽装”は起きてしまうのか?

 

漁業関係者は、「町の誰もが知っている。もっと前から他にもやっている奴はいる」と証言しています。

つまり、やっていたのは一部の人だったとしても、漁船・業者・旅館が手を組んでいたことと、みんなが知っているという意味では、“町ぐるみ”の犯行だと言えます。

市長や漁協の人間が、「二度とこのようなことが……」と表明したところで、時すでに遅し。

消費者の信頼は失われ、ブランドは消滅してしまうのではないでしょうか。

1社の犯行ではなく、産地そのものが産地偽装したのですから、ブランドの立て直しは不可能だと思います。

このニュースに触れて、もうひとつ私が気になったのは、ブランドの価値そのもののこと。

逮捕された業者は、「他の産地のカニと味の違いなんて、わかるわけがないと思った」と供述しています。

また、他の漁業関係者や料理人曰く、「味の違いはわからない」。

つまり、普通のカニと「間人ガニ」の味に差はないということです。

大きさや見ために違いはあれど、味は同じなのです。

ならば、4倍もの金額を払う意味があるのでしょうか。

ブランドとはそういうものなのかもしれませんが、モノの価値を見直す必要があるのではないでしょうか。

しかし、ブランドを有難がる消費者の幻想がある限り、産地偽装はなくならないのです。

image by: Shutterstock.com

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なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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