そして、卒業式の後、明るい声で電話をかけてきてくださったのは、なんと校長先生でした。あれほど、毛嫌いされていた校長先生が、お母さんと息子さんといっしょに校門前の卒業式の立て看板の前で自然に写真が撮れたというのです。笑顔で卒業式を迎えたいという希望がかないました、と本当にうれしかったそうです。校長先生は心をくだいておられたのです。
後日、高校に入学した、と息子さんからお手紙が来ました。息子さんは、自分で決めた未来を手に入れ、希望を実現しつつあります。いつの日か、町でいじめをした人物に出会ったとき、彼は被害を受けた恨みを言うかもしれません。けれども、そのとき彼はポジティブ(積極的)でアサーティブ(自己主張する)な言い方で語ることでしょう。私はその光景を明確にイメージすることができます。
スクール・ソーシャル・ワーカー 村崎京子
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