森友学園問題で掘ったのは墓穴か。安倍首相「総裁3期9年」の皮算用

 

トランプ政権の分裂と混迷の酷さ

ところが問題は、トランプ自身にとっても、彼の対中国政策がどうなるかよく分かっていない(ように見える)ことである。

まず、政権中枢における分裂がある。トランプの最側近で、首席戦略官という限定性が不明の肩書きでホワイトハウスのNSC(国家安全保障会議)のメンバーに加えられたスティーブン・バノンは、1年ほど前に自分のニュースサイトで「5年から10年の間に南シナ海で戦争に突入するだろう」と明言したことがあって、それがしばしば引用されているけれども、それがどれほど真面目な戦略分析に基づく発言なのか、また今なおその考えのままなのか、不明である。

また政権中枢近くには、ピーター・ナバロ=カリフォルニア大学教授が「国家通商会議」議長としていて、彼は『米中もし戦わば』の著作でも明らかなとおり、米中戦争不可避と見る極端な反中国派であるけれども、この政権の外交に口が出せる立場なのかどうかは分からない。

他方、トランプに直接電話をして外交政策について意見する立場にあるのは、共和党系外交政策エスタブリッシュメントの頂点に立つヘンリー・キッシンジャー=元国務長官である。彼はニクソン政権時代に米中国交樹立を成し遂げた親中派の頭目であり、中国と対決することなどありえないと信じている。

また、トランプの最愛の娘イバンカは、大学時代の大親友の中国人留学生の影響で大の親中派で、娘のアラベラに1歳半から中国語を習わせている。今年2月1日の駐米中国大使館の旧正月を祝う春節祭には、イバンカは娘を連れて参席し、娘に中国語で祝い歌を披露させている。これは、昨日今日の話ではない筋金入りの話で、トランプが溺愛する娘に逆らって中国と敵対するとは考えにくい

そういうわけで、トランプの対中国姿勢はまことに測りにくいが、私の直感的な予想では、やはりイバンカ要因は大きくて、中国とは協調路線を採るのではないか。4月の習近平訪米が注目される。

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