【書評】ありがとうが溢れるクラスの子は鉛筆を1本しか持たない

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いじめを放置したりまともに解決しようとしない教師のニュースが度々報道されますが、子供たちの居場所である教室を「居心地のいい空間」に作り上げようと日々努力を重ねている先生方ももちろん多数います。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』で著者の松尾英明さんが紹介しているのは、「ありがとう」という感謝の気持ちが溢れるクラスづくりのために、ある「秘策」を実践している教諭の著作。職場の雰囲気改善のヒントにもなる良書です。

鉛筆1本を大切にするクラスづくり

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「ありがとう! 」があふれる幸せなクラスづくり大作戦 感謝の気持ちを育む教育
河邊昌之・著 明治図書出版

友人の河邊氏の初の単著である。「感謝を柱とした学級経営の具体的なアイデアが提案されている。

この本の中に「鉛筆1本活動」という実践がある。簡単に言うと、もってくる鉛筆を1本だけにするというもの。落とし物No.1の鉛筆を「落とさないようにさせる」という方向の解決にもっていく。

「たかが鉛筆の落とし物ぐらい」と思うかもしれない。しかし、鉛筆1本を大切にすることの波及効果はとてつもなく大きい。実は河邊氏は、単に鉛筆の落とし物をなくそうとしているのではない。ここから、「ありがとう!があふれる幸せなクラスの柱を作るのである。

鉛筆が1本しかない。当然、大切に使うようになる。その1本がないと書けないので、落としたらすぐに気付く。大切にすると、名前をつけたくなる。名前をつけると、捨てたくなくなる。捨てたくないので、限界まで使うようになる。どうしても使えなくなっても、捨てずに「学習の足跡」のような形でとっておきたくなる(河邊学級では、掲示物として残されるようになる)。仲間の鉛筆がどれかもわかるようになるので、万一落としても本人にすぐ届く。

さて、ここまでは鉛筆の話である。鉛筆にとどまらない。鉛筆を大切にすると、次々と他のものも大切にするようになる。ものを大切にするようにすると、人も大切にするようになる。頭と心も使うようになる。結果、幸せなクラスづくりにつながっていく。

捨てない工夫をする。それは、無暗に新しいものを使わないということにもつながる。これは実は「捨てる」ということと同義である。新しく余計なものを買うという選択肢を捨てるからである。

たかが鉛筆一つにこだわることで、クラスづくりになる。ここがわかっていないと、些細だけど大切なことを落とし、クラスを荒らすことにもなる。

自分のクラスの何が悪いかわからない、という悩みを抱える方にも、おすすめの本である。

image by: Shutterstock.com

『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』

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