辞めても「借金、払え!」に追われる、新聞拡張員の驚くべき被害実態

 

5.弁護士などの法律家に相談する。

後々、裁判になった時のことを考えるのなら、弁護士などの法律家に相談するという手もある。費用は、それなりにかかるが、法外な請求の場合、十分ペイする場合もあるさかいな。

実際に裁判まで至った事例については「第78回 ゲンさんの新聞業界裏話 ■新聞トラブルあれこれ その3 裁判、その長い闘いの果てに」というのがあるので、参考になるのやないかと思う。

このケースでは、請求金額の減額と支払ってしまった分の返還金を相談者の方が受け取ることができている。弁護士が入ったことで拡張団からの催促の電話がピタッと止まった。もちろん、直接訪れることもなくなった。

その後、その弁護士と相手方との間で交渉が続けられたが、その相手の拡張団側が納得せず、民事で争われることになった。結局、裁判は2年以上続くことになる。

ちなみに、この相談者の方からの最初のQ&Aでの回答「NO.449 裁判にすべきでしょうか?」の文章をそのまま、その弁護士の方が証拠書類として裁判所に提出したいので許可して欲しいと頼まれた。もちろん、ワシらには何の異存もないと返答した。

6.請求資料はすべて提出して貰う。

当人が身に覚えのないようなケースでは大半が、相当吹っかけた内容の請求になっているのが普通や。実際の損害額が10万円程度やったら50~60万円の請求になるといったところかな。たいていの場合、その請求額にさしたる根拠も正当性もない場合が多い。あるのは、業界の論理だけが優先する逃げた者、辞めた者への見せしめ的なペナルティと考えといた方がええ。

そして、殆どの場合、そんな請求をそのまま応じる者はいないということも、その連中はよく知っている。

しかし、中には「揉めるくらいなら」と考え請求どおりの金額を支払ってしまう身内の人もおられる。その確率がどの程度なのかは定かやないが、聞くところでは5件中1件の回収ができたら御の字とのことや。そのため、法外な値段を設定しておかなければ採算が取れない、間尺に合わないと考える。言えば、5人中1人の回収でペイしようという魂胆なわけや。つまり、そもそもがそんなええ加減な考えで請求しているわけやさかい、まともな請求は少ない。

まあ中には、その請求によほど自信があるのか裁判にまで持ち込む新聞拡張団や新聞販売店があるがな。ただ、それにしても裁判所で認められるのは、ええとこ半分程度のもんやけどな。

不良カード分の請求というのは、この業界としては自然なものやが、一般社会通念上、あるいは法律に照らしてとなると、かなりの疑問符がつく。「不良カード」というのは、結果的に客が購読せんかったという理由で無効になった契約のことや。販売店から買い取ることはできんと突き返されたものを通常そう呼ぶ。

その責任が、あると実証され、それに対して団がすでに当該の拡張員に支払い済みの拡張料の返還だけを請求しとるというのなら、それなりに筋は通る。しかし、たいていはそれに対してペナルティが上乗せされとる場合が多い。そのペナルティが正当なものかどうかという判断が必要になる。

このペナルティというのは、見せしめ的要素の強いものやから、拡張団の中には、かなり高額に設定されとる場合がある。普通、それらは一括請求という形になっていて、その不良カード一枚一枚の請求理由というのは添付されとらんはずや。

弁護士さんなら、それの添付を要請できる。当たり前やが、それがなかったら、その請求が正しいかどうかの判断すらできんさかいな。

以上や。後は個々の事案毎でアドバイスが違うてくるさかい、ここで話せるのは、この程度や。

特に「事例その4」については、なかなか難しい問題が内包していて結果が出るのは、もっと先やと思うので、結果が出て、相談者の許可があれば特殊なケースとして、このメルマガ誌上で話したいと思う。

image by: Shutterstock.com

 

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