アイトラックで分析してみたところ、視線が集まっている部分は「左下」だった。
業界ではその30年以上の常識を疑うどころか何も考えずに信じている人がほとんどで、その証拠に、ダイドーも主力商品の缶コーヒーはずっと自販機の「左上」に置いていた。
そこで、ダイドーはその分析結果を受けて、2013年春に缶コーヒーを「左下」に置くと、売り上げが数十%もアップした。
これまでは、商品の缶の左上の位置に「コクと後キレ UP!」といったPOPを貼っていたが、これも従来の「左上」の法則によるものだった。しかし、アイトラッキングで分析してみたところ、お客は商品を目の前にすると、まず上を見て、そして下を見ることが分かった。
そこで、その後は缶コーヒーの上と下の位置にキャッチコピーを入れるようになっている。
また2015年3月に発売した「ダイドーブレンド 泡立つプレミアム」も、発売前に念入りにアイトラッキングを行なっている。
10回以上缶を振ると泡立つという商品だが、この「振って泡立つ」という文字や写真をどのように見ているのかということを調査し、その位置や大きさなどのデザインを決める。
お客様は自販機の前に立って数秒で商品を選択するので、パッと見の印象というのは重要である。
単体で見た時にすごくいいパッケージデザインでも、たくさんの商品が並んでいる自販機で「この商品がどう見えるか」ということを考慮してデザインを決定している、と同社のマーケティング部担当者は述べている。