また中国人が失踪。習近平に辞任を迫る怪文書は誰が書いたのか?

 

「正統性」を失いつつある「共産党一党独裁」

民主国家の政権は、「国民が選んだ」という正統性があります。民主党政権は、日米関係をメチャクチャにしました。しかし、それでも「国民が選んだ」という正統性はあります。

ところで中国共産党の正統性」はなんでしょうか? 中国全土を統一し、「中華人民共和国」を「建国した」という正統性があります。しかし、中国国民が、「国民党にしようか? 共産党にしようか?」と選挙で決めたわけではありません

次に共産党は、「一党独裁のおかげで中国は経済発展している」という正統性を持ち出しました。実際、中国は1970年代末から2010年代半ばまで、「世界一」と言っていいほどの成長を遂げてきました。それで、国民も、「まあいいか」ということだった。

しかし、2015年の半ば、特に今年に入ってから中国経済はボロボロになっています。国民は、貧しい時「豊かさ」(金)を望み、豊かになると「自由」を望むようになります。共産党は、「豊かさ」を餌に、中国に「不自由」を強いてきた。ところが、経済がダメになってきたので、「豊かさも自由もない状態になりつつあります。つまり、「共産党の一党独裁だから経済成長できる」という「正統性」は、もはや失われつつあるのです。

もちろん、今回の「無界新聞事件」で、習近平がどうのこうのという話にはならないでしょう。しかし、「人民の間には怨嗟の声が起きている」というのは事実。これからのさらなる景気悪化で、ますます「怨嗟の声」は大きくなっていくことでしょう。

「皇帝」と呼ばれる習近平ですが、「裸の皇帝」と呼ばれる日がくるかもしれません。

 

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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