仕事中に私用メールの社員をクビに。なぜ会社側が「敗訴」したのか?

 

では、この裁判はどうなったか?
※話がそれてしまうため、上司に対する誹謗中傷についての内容は省略します。

会社が負けました。その解雇は無効と判断されたのです。なぜか?

社員は仕事の時間中は「職務専念義務」があります(つまり、職務に専念すべし、ということですね)。当然ながら、私用メールは仕事ではないためこの義務に違反していることになります。

ただ、重要なのはその「頻度または時間)」です。この社員は、確かに仕事中に私用のメールをしていましたがその回数は1日に平均するとたったの2通でした。これが裁判では「仕事をする上での支障になるほどではない」と判断されたのです。

いかがでしょうか?

「たとえその頻度は少なくてもルール違反であれば厳しくすべき」という意見もあるでしょう。ただ、懲戒処分をする場合はその頻度や程度を考慮することはその処分が認められるかどうかを左右するほど重要です。実際に、それらを考慮することなく懲戒処分を行った結果、「処分が重すぎる」として裁判で負けてしまうというのはよくあることです。

また、何かトラブルが発生するとつい「感情的に」懲戒処分を決めてしまいがちです。ただ、それでは、後々会社が不利になってしまう可能性があります。冷静に、頻度、程度も考慮して懲戒処分の内容を決めましょう。

image by: Shutterstock

 

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