なぜアイリスオーヤマでは、パソコンを禁止しても新企画が生み出せるのか?

 

新商品がぞくぞく誕生する秘訣とは?

続いての事例は、最近よく名前を聞くと思うが「アイリスオーヤマ」。年間に売り出している商品が1万5,000点もある。毎年1,000点の商品を開発。日用雑貨からペット用品、家電製品から、最近ではお米まで販売。何の会社かわからなくなっているが、昔でいう商社に該当すると思う。商社はちり紙からミサイルまでといわれるように、本当に取り扱い商品が広い。そのため「メールを打つより商品開発」ということで、社員にはパソコンが支給されていない。どうしても必要な時のみ「45分間を上限に共用のパソコン利用を可能としている。メールやホームページを見ている時間に新商品を考えるための「ミーティング」に時間を費やすよう徹底しているのだ。

新入社員研修のキーワードには「今年はそれでいいのか」を掲げ、「常識を疑い、変化に挑め」と入社後すぐに1週間の泊まり込み合宿を実施。そこで、ビジネスマナーを学んだり座学を実施。受講後、毎日400字詰め原稿用紙2枚半程度の文字数の「研修参加報告書」を45分間で書かなくてはならない。45分間という時間制限は、会社の仕事の納期を意識の習慣づけを日常の中で行ない、徹底的に「限られた時間内で考える力」を養うことを目的としている。

アイリスオーヤマではさらなる強みとして、毎週月曜日に社長が出席する「新商品開発会議」を実施。この会議は年間50回実施され、毎年1,000点の商品を開発。1週間ごとに60案件が提案され、新商品率は5割を超える。1年に1万5,000点もの商品が考えられる原動力はここにある。LED電球にはいち早く取り組み、古くなったら違う施策に移行。この会議には新入社員も参加し、よい商品は地位に関係なく採用される。

今は地位に関係なくさまざまな情報をフラットで取得できるので、みんなで議論してそういった場にドンドン提案を出していこうとしている。ただ現場に人を配置するだけではなく、研修を実施し人を育てているというのがこの会社のユニークなところ。今や社員数は4,000人となっている。

そう考えると、社員は大変で独創的なことを次々と開発しないとやっていけない。モノを考える力が非常に大事で、そういう会社がどんどん伸びて行く。今は「スピード」「柔軟」「専門性」「多様性」「国際性」の時代であるから、このような時代にはそこに順応できる人材でなくてはならない。

設立10年あまりでグローバル人材を輩出し、注目される秋田・国際教養大学

今人気のある大学として東大や早稲田、慶応をしのぐ人気なのが「国際教養大学」。秋田にある全寮制の大学で1年間の海外留学が義務付けられている。個人の発言を重視し、少人数型の教育を実施。日々、本質的に物事を考える訓練を行なっている。

非常にレベルが高く、留年率は50%。日本経済新聞社が2012年7月に発表した「人事トップが求める新卒イメージ調査」(136社が回答)において、「人材育成の取り組みで注目する大学のトップとして国際教養大学と35人が回答。2位の東京大学とあげたのは13人。その他慶應、早稲田は10人以下の回答であった。

先の結果からみてもメールをただ出す、英語が話せるということではなく、「モノを考える力をもった人間」がこれから通用していくということだろう。国際教養大学はそういった人材を育てている大学で、近年非常に話題となっており、名だたる企業への就職内定率も非常に高い。

会社もそういった人材を育成しないとならないという風潮になってきており、従来行なわれていた企業研修では現在のニーズとは合っていないようである。

(TBSラジオ「日本全国8時です」3月29日音源の要約です)

image by: Shutter stock

 

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