さて、この「パナマ文書」問題がやっかいで、大きく踏み込めないのは、日本だけではないはずです。
まず、問題あるのがBVIという「英国領」だということ。そして、現在米国債を保有するのは、第1位に日本、第2位に中国、第3位に中東諸国となり、それに続く第4位がカリブ海のオフショア金融センターで、そう考えると英米としては本件になかなか本気で手が出しづらく、それゆえドイツから本件に火がついたのは、「よく事情がわかっている者」の仕業だということが理解できます。
前述したように、「自分の正体を隠したい」人にとってカリブ海のオフショアはこの上無い場所であったように、この事件も「自分の正体を隠したい」「よく事情がわかっている者」が思惑を馳せていると考えるべきだと個人的には思います。すなわち、本件の本当の震源地は英米にあるはずで、いわば身内の膿を出すひとつの策でもあると見た方が良いと思うのです。
その「自分の正体を隠したい」人が誰かは定かではありませんが、真意は理解できます。それは、「いままでの体制を変えること」に他なりません。だからこそ、G20直前のこのタイミングで、すべての情報公開を行わずに、表に出すに至ったはずです。
今週からはじまったG20財務相会議で、なによりの「裏トピック」として「パナマ文書」は話し合われることになるでしょう。
当分、騒動は続きそうです。
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『高城未来研究所「Future Report」』より一部抜粋
著者/高城剛(作家/クリエイティブ・ディレクター)
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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