(2)日本語の「しつけ」は罰も含む
とにかく、そんなわけで、欧米の感覚では、「leaving a child alone」(子どもだけで放置する)ということは、それだけで犯罪的な行為として強く認識されており、世間の関心もやたらに高い。
だから、日本で起こった北海道の男児置き去り事件は、その発生直後から、欧米諸国の各種メディアでも、かなりたくさん報じられることになった。
アメリカだけでなく、イギリス、カナダ、オーストラリアあたりの全ての主要TV局や新聞がニュースに取り上げてたほどだ。
なにしろ、「leaving a child alone “home”」(自宅に子どもだけで放置する)とか、「leaving a child alone in a “car”」(車に子どもだけで放置する)だけでも、しょちゅう逮捕されたりして騒ぎになっているのに、今回は、「leaving a child alone in “mountains”」(山に子どもだけで放置する)とか、「leaving a child alone in “woods”」(森に子どもだけで放置する)などというタイトルになってるのだ。
たぶん、そんな記事のタイトルを見た欧米の方々の中には、その見出しを二度見、三度見して、「マ、マウンテン? なんだって?!」とか、「ウ、ウッズに? なんじゃそりゃ!!!」などと、ビックリして飛び上がった方も、結構、いるんじゃないかと思う。
そのくらいありえない話なのだ。
しかも、その男の子が6日ぶりに見つかったということで、この事件は、欧米でも輪をかけて大ニュースになっている。
結局、無事に保護されて本当に良かったんだけど、いろいろたくさん海外メディアの関連報道を見ていて、1つ気になったことがある。
それは、海外メディアでは、ほとんどどこも「『しつけ』として置き去りに・・・」とは報じていない、ということだ。たぶん、『しつけ』としてと報じた海外メディアは、1つもないのかもしれない。
その代わり、『罰として、懲らしめるため』(as punishment)置き去りにしたと報じている。
例えば、CNNは、
「日本の男の子が山で行方不明『罰として』両親が置き去りに」
〔ご参考〕
●Japanese boy missing in mountains after being left by parents as ‘punishment’
報道の中には、「男の子が日本の森で行方不明『罰として』両親が男の子を車から”蹴り出した”」などと、両親に対する怒りが込められたと思われる、恐ろしいタイトルに脚色されてた記事もあった。
そこまで酷くなくても、アメリカ最大手の全国紙のUSAトゥデイも、「『罰として』森に置き去りにされた男の子が消えた」(USA Today)とか、政治系のニュースに定評のある真面目なワシントン・ポストにまで、以下のように、もはや、しつけでも、罰としてでもなく、ただ『捨てられた』と報じられる例まである。
「熊でいっぱいの森に『捨てられた』7歳の日本の男の子の捜索にフラストレーション高まる」
しかも、捨てられた場所は、「熊でいっぱいの森」(bear-filled woods)っていう、ひじょーに衝撃的というか、もはやフィクションみたいな現実にはありえない見出しだ。
〔ご参考〕
●Boy missing in Japanese forest after parents kicked him out of car as punishment
●Boy left in woods as punishment disappears
●Frustration grows in search for 7-year-old Japanese boy abandoned in bear-filled woods