仕事が速い人は長期スパンで考えるが、遅い人は目の前のことで右往左往する
自分の人生を変えるには、いったいどのくらいの時間が必要だろうか。
たとえばわかりやすいところでは、大学院に進学して2年、公認会計士や司法試験などの難関国家資格では5年くらいだろうか。
語学をマスターするのには約3年、デザインやプログラミングなど、専修学校に通って技術を身に着けるには2年ほどか。
つまり、短くて2年、長くても5年何かに取り組めば、キャリアチェンジやステップアップなど、人生のターニングポイントを自らの手で創造することができるというとだ。
そして仮に人間の寿命を80年としたとき、あなたにはあと何年の余生が残されているだろうか。
仮に今30歳なら、あと50年ある。定年退職したばかりの65歳であっても、あと15年ある。
そう考えると、今年の年収がいくらとか、受験や仕事で失敗したなどというは極めて短視眼的な発想であり、逆転するには十分すぎるほどの時間があると思わないだろうか。
しかし、仕事が遅い人に限って目の前の出来事に右往左往し、周囲が目に入らなくなる。
仕事でも成果を焦り、すぐに結果が出ないとガマンできない。
だからひとつの失敗でクヨクヨする。昇進や昇給で後れを取ると焦る。
ビジネス書やビジネス系セミナーなどでも同じで、彼らはすぐできてすぐ成果が出るノウハウやテクニックを欲しがり、ありがたがる。
なぜかというと、彼らは抽象化思考が苦手だからだ。
抽象化思考とは、具体的な言葉や事象を抽象的にイメージすることだ。
たとえばプリウスと言えばハイブリッドカー、ハイブリッドカーと言えば自動車、自動車と言えば乗り物、というふうに、より上位概念に引き上げられる能力のことを言う。
仕事が速い人はこの能力に長けている。
たとえばある仕事で失敗しても、そこから教訓を引き出し、次に同じような場面に遭遇すれば、その経験を生かせばよいと考える。
あるいはビジネス書やビジネス系セミナーに行っても、「このノウハウを自分の状況に適用するにはどう変えればよいか」「そのテクニックの背景にある考え方は何か」と一段階抽象化して捉えることができる。だから知識や情報が自分の血肉になる。
これは人生設計についても同じで、冒頭の発想に戻るが、現時点での自分の状況も大局的に考えれば、さざ波のひとつに過ぎないことがわかる。
だから仕事が速い人は、困ったこと、悩みごと、不安なことなどがあったとしても、立ち止まることなく淡々とタスクをこなしていける。
あるいは、もっと長期にわたって想像するとどうだろうか。
たとえば、自分の時間を大事にしたいからあえて子どもはつくらないと言っていた人が、老後は身寄りのいない独居老人となり、さびしく余生を過ごしているという報道番組を見たことがある。
体が元気で働けるうちは自由を謳歌していたが、自分が働けない年齢に達したとき、自分の両親はすでに他界し、配偶者がこの世を去り、兄弟も高齢で、ほぼ天涯孤独な人生に後悔しているという内容だった。
そんな状況になるのを防ぐためにも、「これを一段高い視点に立って考えると何が言えるか、何が想定されるか」というふうに、つねに抽象的に発想する姿勢を忘れないようにしたい。
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著者/午堂登紀雄
フリー・キャピタリストとは、時代を洞察し、自分の労働力や居住地に依存しないマルチな収入源を作り、国家や企業のリスクからフリーとなった人です。どんな状況でも自分と家族を守れる、頭の使い方・考え方・具体的方法論を紹介。
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