「イラン問題」と「ドル基軸通貨体制」
イラク戦争については、「フセインが原油の決済通貨をドルからユーロにし、ドル体制に挑戦したからだ」という説があります。
これも「トンデモ話」ではなく、新聞にも載っている事実。
例えば06年4月17日付の毎日新聞。
イラクの旧フセイン政権は00年11月に石油取引をドルからユーロに転換した。
国連の人道支援「石油と食料の交換」計画もユーロで実施された。米国は03年のイラク戦争後、石油取引をドルに戻した経過がある。
では、イランはどうか?
この国も、フセインと同じ道を進んでいました。
イランは07年、原油のドル決済を中止した。
イラン、原油のドル建て決済を中止【テヘラン 8日】
イラン学生通信(ISNA)は8日、ノザリ石油相の話として、同国が原油のドル建て決済を完全に中止した、と伝えた。
ISNAはノザリ石油相からの直接の引用を掲載していない。
ある石油関連の当局者は先月、イランの原油の代金決済の「ほぼすべて」はドル以外の通貨で行われていると語っていた。
(2007年12月10日ロイター)
「石油ガス利権」と「ドル基軸通貨体制防衛」
おそらくこの2つが、「イラン問題」の本質なのです。
しかし、「イランには石油・ガスがたっぷりあるんだよね。それを確保するためにイランをいじめてる」とか、「ドル体制を守るためにイランをバッシングしてる」とはいえない。
だから、ありもしない「核兵器開発問題」をでっちあげたのでしょう。
実際、NIEが「イランは核兵器開発を03年に停止したよ」と報告してから、実に8年の月日が流れています。
<イラン核>米が機密報告の一部公表 「脅威」を下方修正
【ワシントン笠原敏彦】マコネル米国家情報長官は3日、イラン核開発に関する最新の機密報告書「国家情報評価」(NIE)の一部を公表し、イランが03年秋に核兵器開発計画を停止させたとの分析結果を明らかにした。
(毎日新聞2007年12月4日)
なぜアメリカは変わった
「イラン核兵器開発問題」は、アメリカの「いいがかり」だった。
では、なぜアメリカは、「いいがかり」をやめたのでしょうか?
その理由が、こちら。
米国が最大の産油国に。世界はどうなる? THE PAGE 6月18日(木)9時0分配信
米国がサウジアラビアを抜いて、とうとう世界最大の産油国に躍り出ました。
これにはどのような意味があるのでしょうか。
英国の石油大手BPが発表した2014年のエネルギー統計によると、米国はサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になりました。
米国はサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になりました。
シェール革命で、アメリカは世界一の「産油国」になった。
ちなみに、アメリカは09年、ロシアを抜いて世界一の「産ガス国」になっている。
つまり、いまやアメリカは、「世界一の産油、産ガス国」「世界一の資源超大国」なのです。要するに「石油・ガス利権」をゲットするためにイランをバッシングする必要がなくなった。
それで、もともとなかった「核兵器開発問題」もなくなったのです。
※「ドル体制問題」について。「ドル体制崩壊運動」の中心国は、いまや中国とロシア。この件でイランをバッシングしても問題は解決しないのです。
アメリカとイランが和解する。このことは、世界にどんな影響を与えるのでしょうか?