どういうことかというと、「思い込み」によって彼は、一方的に商品を説明し納得してもらうことだけに力を注いできました。そのため、先方の聞きたいことや知りたいことに対して十分耳を傾けられていなかったのです。自分の伝えなければならないことだけを伝えていたのです。
そして、そのことによって、典型的な売り込みスタイルの営業マンになってしまっていたのです。
ですから、いくら商品が素晴らしいものであったとしても相手には伝わらない、響かないでいたのです。
この営業マンのように「○○はこうあるべき」というような思い込みによって本来得られるはずの好結果を得られないというケースは多々あります。
例えば、最も多いのが、
「うちは今までこのやり方でやってきた。」
という経営者。
確かに今まではそのやり方で上手くやってきたのかも知れないけど実際にはそのやり方が、足かせになって業績が悪化しているというケースです。
いわゆる過去の成功法にしがみつく、パターン。
気持ちは分からなくもないですが、業績が悪化している事実を真正面から受け止めなければ、改善や工夫なんかをいくら提言したところで、現状のままで何も変わらなかったりします。
あとよくあるのが、
「自分はおとなしい性格だし、トークも上手くないので営業に向いていない。」
という思い込み。
トークが苦手、性格がおとなしいというのは、営業マンに向いてる、向いていない、になんら因果関係はありません。
おとなしくても、トークが下手でも「営業が楽しい。」という人はたくさんいます。
では、こうした「思い込み」というものは壊すことは出来ないものなのでしょうか?
そのヒントとなるのが「質問」にあります。
たとえば、部下や同僚、後輩に
「僕はトップ営業マンになんてなれっこない。」
というような「~できない。」という思い込みがあったとします。
こうした思い込みを持っているということは、自分で自分のことを制限してしまっているのです。
ですので、こうした場合には、
「でも、もしトップ営業マンになれたとしたら?」
とイメージを沸かせるような質問をし、さらに
「どうすれば実現可能かな?」
と、さらに質問を追加します。
達成された未来をイメージしてもらい、その可能性が1%でもある、ということを認識させ、さらにそのことについて考えてもらうのです。
そのほかには、思い込み以外にも例外や選択肢が色々あるということ、そこには可能性があるということ、そのことについて考えてもらう質問をすることです。
「たとえば君の言っているA以外にもBというやり方があったとしたらどうかな?」
「結果を出すことだけを考えてみた場合、他にも何かアイデアがありそうな気がするんだけど君はどう思う?」
というような質問です。