スカイマークのV字回復を実現に導いたものとは?
それではスカイマークは、このようなどん底からどのようにして短期間で復活を成し遂げたのでしょう? 主な要因としては次の2つが挙げられます。
1.外部環境の好転
高止まりしていた原油価格は、アメリカでこれまで困難とされてきたシェール層からの石油や天然ガスの抽出が可能になった「シェール革命」により、大きく下落することになります。
それまで、1バレルあたり100ドルを超える水準で取引されていた原油価格は、最低20ドル台にまで落ち込むと低位で安定。ドル円の為替相場は、アベノミクスの影響でさらに円安が進んで120円台を付けたものの、原油価格の値下がりの影響が大きく、コストを大幅に削減することができたのです。
2.不採算路線からの撤退による効率の向上
加えて、不採算路線から撤退し、搭乗率の向上を図ったことも功を奏したといえるでしょう。
スカイマークは破綻前、最高で月間5,334便の運航を行っていましたが、破綻直後は最低3,458便まで絞り込みます。結果として搭乗率は向上し、最近の9か月間は80%を超えるという好調を維持しているのです。
このような理由でスカイマークの業績は驚異的な回復を見せていますが、まだまだ予断は許さない状況といっても過言ではないでしょう。
外部環境でいえば、過度な円安が進まずに、原油価格の低位安定が続くかどうかということが重要な要件になりますし、内部に目を向ければ、同じ失敗を繰り返さないよう適切な経営判断が欠かせません。
企業の業績は外部環境によって大きく左右され、経営者の経営判断次第で急速な成長を実現することもできれば、危機的な状況に陥ることもあるのです。そこで、経営者には自社を取り巻く外部環境を正確に読み解く鋭い分析力とそれに対応する適切な経営判断能力が求められているといえるでしょう。
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著者/安部 徹也
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