明暗くっきり。失速ユニクロと好調しまむらに見る業界のジレンマ

 

アパレル製品において、「高品質」で差別化を図ることが難しくなっています。しかし、アパレル製品における差別化のポイントは「高品質」だけではありません。言うまでもなく「ファッション性」にあります。

そのことを示しているのが、ファストリが展開する「GU(ジーユー)」の快進撃です。国内のGUの業績は好調で、16年8月期決算の売上高は32.7%増の1,878億円、営業利益は34.8%増の222億円と大幅な増収増益です。06年10月に1号店が誕生し、10年が経過しました。年間40~50店舗の出店を継続するとし、16年9月末時点で341店舗を出店しています。今後の成長目標として「売上1兆円企業になる」と宣言しています。

GUはトレンドファッションを志向しています。ブランドメッセージとして「ファッションを、もっと自由に。」を掲げていることからも、ファッション性を重視しているのがわかります。当初は「ユニクロの廉価版」と揶揄されていましたが、11年にファッション性重視に舵を切ったことが功を奏し、売り上げは上昇していきました。

とはいえ、GUのファッション性はまだまだ不十分です。ユニクロとの違いを明確に理解できている消費者は多いとはいえません。「ユニクロの廉価版」というイメージを払拭できているとは言い難く、改善の余地は大きいといえます。しかし、ファッション性を追求する方向性は間違ってはいないでしょう。さらなるファッション性の向上が実現できれば、1兆円ブランドは夢ではないといえます。ユニクロの「高品質で低価格」と同じように、「高いファッション性で低価格」を確立できるかが問われます。

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