弁護士が教える、クレーマー扱いされずに自分の望みを通す方法

2017.01.17
by NozomiK
 

このやり取りは、考えてみると非常に奇妙です。予約を入れる、入れないは、フロントのシステム上のこと。私がフィットネスルームを今から使いたいと思っていることは明白なのですから、本来であれば、最初からその時間の予約の有無を確認すべきだと思われます。

とはいえ、従業員の方に悪気はないのでしょう。おそらくマニュアルに「予約が必要」と書いてあり、それを忠実に守っただけなのだと思われます。そのルールの是非はともかくとして、マニュアルに従うことは従業員としての務めでもあります。もしかすると、そのホテルでは普段フィットネスルームの利用者が少なく、「今から使いたい」といった利用客に、臨機応変に対応した経験がないのかもしれません。

何はともあれ目的を達した私ですが、最初の時点で引き下がってしまっては、部屋はがら空きのまま、なぜか入れないという変なことになるところでした。かといって「空いているんだから使わせろ!と逆上しても、解決にはつながらなかったでしょう。おそらく、従業員は余計にかたくなになり「クレーマーが来た! このルールを守れない困った人にどうお引き取り願おうか」としか考えなかったはずです。

なんてことのないエピソードですが、この出来事は、様々な対立、問題解決に共通して起こることだと思います。問題解決に必要なことは、起こっている問題を定義し直し問題の本質はどこにあるのかを考えることです。

意見を異にしている人にも、その人なりの正しさがあります。その相手に自分にとっての正しさをぶつけるのではなく、相手の思考回路にできる限り入り、相手の価値観相手がよって立つルールを理解したうえで、そのルールを自分のために解釈しなおし利用するロジックを考えることが、問題解決の糸口になることがあるのだと思います。

今回は、ここまでです。

 image by: Shutterstock
 
 
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