証人喚問でも食い違う主張。森友学園「茶番劇」の発端は何なのか?

 

森友学園の籠池氏は、かなり前から政治家と付き合ってきた。2008年7月12日、塚本幼稚園で開かれた「教育再生地方議員百人と市民の会」第10回定期総会で基調講演をしたのは鴻池祥肇参院議員だった。

その案内チラシにはこう書かれていた。

次期総理に最も近いのが麻生太郎氏、その麻生氏に最も近いのが鴻池氏。しかるべき日には党で幹事長、または内閣で文部大臣。かなり可能性がある話だと思います。

ちなみにこの会合には、大阪市議、吹田市議、柏原市議ら大阪府下の地方議員が参加している。

麻生太郎氏は事実、その年の9月に総理大臣となり、鴻池氏は官房副長官に就任した。

国のトップにつながる人脈をつかみ、籠池氏は普通の人々なら持っているはずの、まっとうな感覚を失っていったのだろう。

2015年に小学校の「認可適当」が下りると、資金不足も顧慮せず、自分には大物政治家がついている、支援者も多い、寄付金はたんまり入ってくると錯覚して小学校建設に突き進んだと推察される。

この年の9月5日、安倍昭恵夫人が塚本幼稚園で講演し、新設小学校の名誉校長を引き受けたときは、天下をとったような気分だったのではないだろうか。かりに安倍首相から100万円の寄付があったとしたらなおさらだ

それだけに、この国有地払い下げにまつわる疑惑が、NHKやテレビ大阪のローカルニュースや朝日新聞の記事をきっかけに政権を揺るがす大問題に発展し、これまで協力的だった役所はもちろん、頼りにしていた政治家たちがいっせいに無関係を装って遠ざかったことは、籠池氏にとってさぞかしショックだっただろう。

籠池氏のもくろみは、ものの見事に砕け散り、巨額の負債を背負ったまま、小学校開校が見通せなくなった。頼りの寄付金も途絶えた。誰かの働きかけがあったのかどうか、認可申請を取り下げたものの、目下最大の危機である金銭面について救いの手が差しのべられた様子はない

かつて所属していた日本会議からも嫌がらせメールが届き、孤立無援となった籠池ファミリーは、天敵だったはずの「日本会議の研究」著者、菅野完氏を頼るほかなくなった。昨日の敵は今日の友。人生、わからないものである。

このメルマガが届く23日、籠池氏は証人喚問に呼び出されている。幼稚園児に「安倍首相ガンバレ」とまで言わせて権力者の機嫌をとろうとした自らの愚かさを反省するとともに、都合が悪くなれば知らぬ存ぜぬを通そうとする政治家や官僚の真実の姿を、怒りに任せて、洗いざらいぶちまけてみたらどうだろうか。

塚本幼稚園のような教育を褒め称え、その小学校版を今の日本につくることが教育再生だと信じて疑わなかった国のトップ、大阪府の知事。その思いを汲み取って、特定の学校法人を異常に優遇した役人たち。彼らこそこの国の根本を蝕む存在なのではないだろうか。

image by: とも子田中(GOOGLE MAPS)

 

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