鱧の旬が夏と言われる理由
京都は海から遠いので、海で捕れる魚は、若狭でとれる鯖や鯛か、瀬戸内から運ばれてくる魚ということになります。昔は冷凍技術がないので、夏に新鮮な魚を京都へ運ぶのはとても大変でした。若狭で獲れた鯖は塩でしめて運ばれました。その由来から若狭から京へ向かう道は今でも鯖街道と呼ばれています。
鱧は瀬戸内方面から運ばれてきた魚です。他の魚は弱ったり腐ってしまっても、鱧はとても生命力の強い魚で、夏の暑い時期でも生きたまま京へ運ぶことが出来たと言います。夏の暑い時期には、鱧のような生命力の強い魚しか持ってくることができなかったということです。そこから「鱧は夏が旬」というイメージが定着したようです。
現在では、鱧は秋の土瓶蒸しにも名残リの鱧として欠かせません。鱧は小骨が非常に多いので専用の骨切り庖丁で骨切りしなければ食べられません。海から遠い京都の都で極められた調理法に先人の知恵を感じますね。
いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。
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