なぜ科学者は発がん性物質の危険性を煽る人間を軽蔑するのか

 

閑話休題、話を戻すと発がん性に関しては、そうそう微量であっというまに発がんするような物質はありません。むしろ、そんな発がん性物質があれば、抗がん剤の研究者が狂喜乱舞して喜びます。抗がん剤の治療の実験のために、どれだけ時間をかけて生かさず殺さず毒を投与してラットをがんにしているのか、あまりに知られていません(笑)。

だいたいとんでもない発がん性物質の塊であるタバコを吸っている人ががんの率が高いとはいえ、この程度なのか…というのは人間はとりわけ毒物に強い発がん性物質にも強いという特徴から来ています。

ましてやそれだけ発がんは難しいのに、それが地下水に入ってるからとか(地下水そのまま飲むんかよ)とか、合格祈願の砂に含まれる…とかそういうのがニュースになるたびに、毒性科学者は眉間を抑えるわけです。

サクッっと殺す毒はいくらでもある。ただ、狙ってがんを作るのは難しい。発がん性物質といわれているのは、その程度のもので、交通事故にあうかもしれないというレベルの「確率」の一つでしかないという認識で十分でしょう。もっと知りたい…というひとは、毒性学の専門書を是非読んでみてください。

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シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。

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【著者】 くられ 【発行周期】 週刊

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