【書評】仲良しだと思ってた人が急にストーカーへ豹変する理由

 

この本ではマスメディアでも報じられた凶悪事件から、著者自身が関わった相談まで、ストーカーに関する多様な事例をとりあげる。多くは男女関係のもつれが原因だが、最近はSNSを媒介とした「新しいストーカー」が起こす事件も増加している。被害者にも加害者にもならないために、また当事者になってしまったら、問題が深刻になる前にどのような手を打てばいいか、具体的な対応策を述べる。

どんな立場にある人でも、いつ被害者から相談を受けるかも知れない。その場合、解決のゴールは何か、を決める。被害者の多くは、加害者の処罰を望む以上に自らの確たる安全を望んでいる。ストーカー対策のゴールは、加害者を無害な存在にすることだと著者は考える。加害者が今後ストーキングしないと自分で決めることができ、その決め事を守れるようになるということである。

ただし、加害者が自分一人だけの力でそこに到達するのは至難の業であろう。ストーカーから足抜けするための支援が必要である。ストーカーは犯罪性と疾患性の二つの側面を持つ。取り締まるだけではなく、臨床的なアプローチも必要だ。彼らには治療と管理が必要だが、相談できる機関や窓口がなかなか見つからない。

著者がストーカーの言い分を聞き、処理をサポートするときに決して手放さない、彼らに課す三つの鉄則がある。

  1. 相手は自分(ストーカー)を嫌う権利がある
  2. 自分の感情は自分で100%処理する
  3. 違法行為はしない

「愛や慈悲、友情の存在をストーカーに感じさせる、そんなカウンセラーでありたいと思います」という著者のところに、相談が持ちこまれる事例の半分は、女性が加害者だ。ストーカー、される側、する側、必読の本である。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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