狡猾な北朝鮮を、逆に日本がだますのはどうでしょうか?

 

世界が日本のウソを目撃する

安倍総理と金が会談したとしましょう。無理だとは思いますが、「北が拉致被害者を返したら、カネを支払う」とディールが成立した。めでたく拉致被害者が戻ってきました。日本中が歓喜の渦に包まれます。金は、「約束通り、カネを払え!」という。安倍総理は、「やはり完全非核化が成るまでカネは出せない」と予定通り変心します。

このプロセスを世界が目撃するわけで、日本は「ウソつき国家」であることを証明することになります。中国、韓国は、「日本は今も昔もウソツキ国家だ。南京大虐殺でもウソをつき、慰安婦問題でもウソをついている!」などと大々的にこの状況を利用することでしょう。

では、圧力に負けて、日本が北にカネを渡したらどうなります? 金は、経済的余裕ができて、「やっぱ非核化やめた!」となるでしょう。これは、金がウソをつくことですが、全世界の誰もが北はウソつきであることを知っているので、まったく困りません

アメリカリベラルメディアは、「やはりトランプ大失敗だ!」と喜びます。トランプさんは、「シンゾーのせいディールが流れた。私の失敗ではない」と強弁するかもしれません。そして、金がカネ持ちになり、核を持ちつづけるのは、日本にとっても、非常にマズイことなのです。

というわけで、私が「ウソはつかない方がいい」というのは、「道徳論ではないという意味ご理解いただけるでしょう。「拉致問題解決」は、全日本国民の悲願です。しかし、「目的のためには手段を選ばず」と考えはじめると、失うものが大きいのです。

今は、米朝合意の行方を見守りましょう(アメリカ政府は、「数週間以内に核計画の全貌を示せ」と要求しています。北の本気度が明らかになるまで、それほど時間はかからないでしょう)。

image by: 首相官邸 - Home | Facebook

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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