台湾最後の日本語世代が語り継ぐ、あの戦争と変わらぬ日台の絆

 

15日に73回目の終戦記念日を迎えた日本ですが、この時期メディアでよく目にするのが、第2次世界大戦における「日本悪玉論」。しかしこれに異を唱えるのは、台湾出身の評論家・黄文雄さんです。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、台湾の人々が日本統治時代にどれだけの教えを得たかを改めて紹介。さらに台湾人が独立の精神を保ち続けられるのは日本のお陰だとし、日台の絆は不動のものだと記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年8月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【日本・台湾】終戦記念日を迎え、戦後73年の日台関係を考える

今年も終戦記念日がやってきました。このメルマガの読者の皆さんは、私と同年代の方も多いのではないでしょうか。戦争を知らない世代が主流となってから久しく、メディアは戦争の悲惨さを忘れるなとばかりに毎年終戦記念日になると、戦争当時を振り返る報道が目につきます。

終戦を迎えたのは幼少期ですが、一応私も当事者であったはずですが、メディアによる戦争の振り返りにふれるたびに、気持ちも新たに戦争というもののやるせなさに心を痛めます。ちょうど今、TBSテレビで『この世界の片隅に』というドラマをやっています。この作品は映画のほうが先に上映されましたが、夏のドラマで戦争体験ものをやるのはとても意義があると思います。

ただし、日本のメディアが伝える戦争とは、まず間違いなく「日本が悪かった」「日本は侵略国家だった」というものです。さすがに最近では、日本が完全な悪玉で、中国・韓国・連合国が善玉だったなどという、善悪二元論で考える人は少なくなったでしょうが、テレビ・メディアなどは、まだまだ単純に「日本悪玉論」を唱えています。

私は台湾生まれですから、戦争前後は台湾の歴史とともに生きてきました。私は、台湾が通ってきた激動の時代の生き証人としての自負を持っています。日本時代には日本の教育を受け、終戦を迎えて日本が台湾から去り、代わりに蒋介石と国民党の残党がぞろぞろと台湾に押しかけてきて、「犬が去って豚が来たと言われた時代がありました。

その後は皆さんご存知のように台湾に受難の時代が訪れます。二二八事件、国民党による白色テロ時代、美麗島事件、鄭南榕焼身自殺事件などを経て、李登輝時代が訪れ台湾は好転していきました。まさに激動の時代でしたが、今の台湾人の戦争を知らない世代はこうした台湾の過去をどれだけ知っているでしょうか。

私は青年時代からずっと台湾独立運動に身を投じてきました。日本に渡ってきてから、ブラックリスト者として台湾に帰ることが許されなかった時代も、仲間とともに日本から台湾独立を叫び、運動を支援してきた自負もあります。そして今、人生を振り返ると、運動を共にしてきた仲間たちは一人、また一人と減っています。

かつては、私も後世の育成に責任を感じ、後世を育てようとしましたが、なかなかうまくいかず、結局これといった人材とめぐりあうことができず、仲間はどんどん年を重ねて減っていく一方です。戦争を知らない世代が、戦争世代と同じような温度で戦争を見ることができないのと同じで、戦後の台湾を知らない世代が熱心に独立運動に参加できるかといったら、なかなか難しいのでしょう。

台湾もかなり変わりました。李登輝時代が終わり、陳水扁時代、馬英九時代、そして蔡英文時代と、台湾は進退を繰り返しながらも確実に中国とは一線を画した独自路線を歩んでいます。

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