大坂なおみ優勝を報じた海外メディアの露骨なセリーナびいき

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いまが旬のニュースを題材に、英語のリスニングと読解力を鍛える人気の無料メルマガ『日刊2分で読めるやさしい英語ニュース』。今回は、日本人初の全米オープン女子シングルス優勝者・大坂なおみ選手のセリーナ・ウイリアムズとの決勝がテーマ!

さて、今回の英語学習コラムのテーマは題して 「VOAで読み解く全米オープン女子シングルス決勝」。

VOAは「Voice of America」の略称で、アメリカ政府が運営する国営放送です。有名なので、以前からご存じの方も多いかと思います。既に当メルマガの学習コラムでもご紹介しましたね。今回は、このうち英語学習サイトである「VOA Learning English」の中から、「What’s Trending Today」の記事を幾つか抜粋してご紹介します。「What’s Trending Today」は、SNSで話題になっている「旬のネタ」をやさしく書き下ろした英文記事シリーズで、音声も付いています。

What’s Trending Today:The day’s hottest issue in social media.
https://learningenglish.voanews.com/z/4652

初心者でも理解できるように、という配慮からか、音声の速度はかなり遅めです。(もっとナチュラルスピードに近いものがあれば)と、そこだけが少し残念です。

先週末の全米オープン女子シングルス決勝では、セリーナ・ウィリアムズ選手の激しい言動が大きな波紋を呼びました。前回の編集後記でも書いたように、私自身は彼女の態度を全く擁護できず、厳しい処分を受けるべきだと思っています。

が、そのいっぽうで、セリーナ選手がこれまで、人種差別や性差別の問題と闘ってきたことも聞いていたので、あの試合では、(そういう意識があって過敏に反応しちゃったのかな)という気もしています。

全米オープンの開幕前、「What’s Trending Today」にこんな記事が出ているのにたまたま目が留まりました。

Serena Williams Says Frequent Drug Testing Is ‘Discrimination
https://learningenglish.voanews.com/a/serena-williams-says-frequent-drug-testing-is-discrimination-/4499832.html

この記事では、「セリーナは他の選手たちの2倍以上の頻度で薬物反応の抜き打ち検査を受けてきた」とあります。で、そのことを本人は「差別的だと感じている」とも。

ある期間に限って偶然そうなったのか、長期にわたって常にそうなのか不明ですが、男子並みのパワーで圧倒するプレー・スタイルから、目を付けられやすかったのかもしれません。

また、アフリカ系アメリカ人の絶対女王であることから、(薬物検査とは別に)やっかみで人種差別を受けてきたことも容易に想像できます。

そんな中で迎えた全米オープン女子シングルス。「大坂なおみ×セリーナ・ウィリアムズ」の決勝戦の直前には、こんな記事がアップされていました。

Williams vs. Osaka: A Dream Match at the US Open
https://learningenglish.voanews.com/a/a-dream-match-at-the-us-open/4561741.html

Osaka added, “I always dreamed that I would play Serena in the final of a Grand Slam.” Osaka’s dream has come true. Williams easily won her semifinal match Thursday against Anastasija Sevastova of Latvia.(記事より抜粋)

大会が終わってから改めて見ると、この記事はそれとなく「決勝ではセリーナが勝利することが前提となっていたようにも読み取れます。

「グランド・スラムの決勝で、セリーナと対戦するのが大坂の夢だった。そして、彼女の夢はセリーナが準決勝で圧勝したことによって実現する」という趣旨になっているからです。

が、なおみさんの発言には言外の意味が隠されています。

“I always dreamed that I would play Serena (and beat her) in the final of a Grand Slam.”

⇒ 当然、(  )内の「and beat her」を補って解釈すべきでしょう。

「決勝で対戦する」ことに満足するのではなく、「打ち負かして優勝するのが目標だったはず。実際、大坂選手は「決勝で負けることを夢見ていたんじゃない」って発言してますから。その結果、彼女は見事に夢をかなえたわけですね。

そして、最新の記事はこちらです。やはり、あの騒動について言及されています。

Naomi Osaka Is First Japanese Tennis Player to Win Grand Slam
https://learningenglish.voanews.com/a/osaka-is-first-japanese-to-win-us-open/4565879.html

Billie Jean King is a former top-ranked player and a women’s rights activist. She wrote on Twitter in support of Williams.

“When a woman is emotional, she’s “hysterical” and she’s penalized for it. When a man does the same, he’s “outspoken” & and there are no repercussions,” King wrote. 

Several male tennis players, including Andy Roddick and James Blake, also came out in support of Williams. (記事より抜粋)

つくづく感じるのが、(VOAはやっぱりアメリカ発の記事だなあ)ということ。セリーナ選手を応援する往年のプロ選手たちの発言だけを掲載して、彼女を批判する声には触れていないんですよね・・・。

アメリカ国内で統計を取ったら、支持派と批判派のどっが多いんでしょうか。世界全体でいくと、もちろん後者だと思いますが。

「男子プレイヤーには審判はもっと甘い」という意見、どうなんでしょうね。もし、ジョコビッチ選手があんな感じで激高して暴言を吐いたら、大ブーイングになって同様の警告とペナルティーを食らうはず、と個人的には感じますが。

こんなふうに、いろいろ世相を読み解きながら英語に触れると面白いです。

以上、学習のご参考になりましたら幸いです。また次回の英語ニュースでお会いしましょう。

image by:  si.robi (Osaka WM17 (4)) [CC BY-SA 2.0 ], ウィキメディア・コモンズ経由で

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【著者】 Aki 【発行周期】 平日週2~5回

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