強気が尖閣を失うきっかけに。総理は訪中時にどう振る舞うべきか

kitano20181010
 

米中関係が貿易戦争で冷え込む中、安倍首相の訪中が控えていますが、アメリカの同盟国として日本は何をアピールすべきなのでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、首相がトランプ流のアグレッシブ外交を受け継いだ交渉をすることを避けるべき「6つの理由」をあげながら、日本独自の落ち着いた外交を提案しています。

安倍総理は訪中時どうふるまうべきか?

私が非常に尊敬するYさまから、こんなメールをいただきました。

北野様

 

いつも勉強させて頂いています。ご指摘のような背景で今安倍首相が訪中することをどう思われますか? 私は本来は行くべきではないと思いますが、行かざるを得ないなら「反日教育や海外での反日プロパガンダ活動を止めない限りは友好は有り得ない」と明言すべきだと思ってます。ここはアメリカ側であることを旗色鮮明にしなければならない状況ではないでしょうか? 安倍首相の訪中についてお考えをお知らせ頂けますか?

お答えします。

なぜ訪中時、中国と対立するのはまずいのか?

まず、

ご指摘のような背景で今安倍首相が訪中することをどう思われますか?

の「ご指摘のような背景」とは、トランプが、「習近平は、もう友達ではない!」といい、米中関係が非常に悪化しているという「背景」です。確かに、行かなくてもいいのであれば、行かなくてもいいでしょう。

行かざるを得ないなら「反日教育や海外での反日プロパガンダ活動を止めない限りは友好は有り得ない」と明言すべきだと思ってます。ここはアメリカ側であることを旗色鮮明にしなければならない状況ではないでしょうか?

安倍総理は、中国に行き、「反日教育やめろ!」「反日プロパガンダやめろ!」「やめなければ友好はありえない!」といえと。そして、「日本は、アメリカの味方だ!」といえと。

これについて、私は反対です。理由ですが、

1.「反日教育やめろ!」といえば、「日本軍は中国大陸で何千万人も殺したことを忘れたのか!と逆ギレされるでしょう。

ロシアのラブロフ外相が中国側にたって参戦する。ついで、アメリカ・リベラルが、「日本の軍国主義が復活している!」とさわぎはじめる。さらに親中、反日のドイツが、欧州の世論を反日にすることでしょう。

2.「反日プロパガンダをやめろ!」といえば、習は「わが国は反日プロパガンダなどしていない。慰安婦問題の犠牲者である韓国が自発的にやっているのだろうなどとシラをきることでしょう。

3.日中関係がよければ、尖閣侵略の可能性は減る

日中関係については、中国が「尖閣はわが国固有の領土で核心的利益である!」と宣言している。さらに、「日本には沖縄の領有権もない!」と宣言している。順序でいうと、「まず尖閣」「次に沖縄」です。

今まで、「尖閣が危なかったこと」が2回ありました。漁船衝突事件があった2010年と、尖閣国有化があった2012年です。どちらの場合も、人民解放軍は、「尖閣侵攻」の準備をしていました。

私は、特に親中ではありませんが、わざわざ2010年2012年の関係に逆戻りさせる必要はないと考えます。

4.日中関係悪化で、日本側の被害も大きい

中国は、なんやかんやいっても世界第2位の経済大国です(統計は、インチキみたいですが)。日本側にも、中国貿易で、中国への投資で儲けている人、企業がたくさんいる。2010年、2012年のような状況になれば、日本側の被害も大きいのです。当時を思いだしてみてください。

ここまでは、日中関係から、「わざわざ関係を険悪にする必要はない」という話でした。

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