強気が尖閣を失うきっかけに。総理は訪中時にどう振る舞うべきか

 

「アメリカの駒」にされる危険性も

ここから「アメリカ」もからめます。

5.トランプは、コロコロ変わる

思いだしてください。トランプさんは、大統領になる前の2016年、反中でした。ところが、大統領になった2017年の4月、習近平と会って、ガラリと態度が変わった。以後、「私は、習近平が大好きだ!」と公言し、しばらく米中関係は、非常によかったのです。

しかし、2018年になると、米中貿易戦争を開始し、習について、「もう私の友達ではない!」と宣言している。要するに、彼の意見は、コロコロ変わります。

金正恩について思いだしてください。2017年は、「チビデブロケットマン」と呼んでいた。ところが2018年の今、「私は、金正恩と恋におちた!」と何度もいっています。

習との関係、今は確かに最悪ですが、来年は「親友」に逆戻りしているかもしれない。ですから、トランプが「反中国反習近平だからといって、中国バッシングをするのは、「慌てすぎ」だと思います。

日本が強気で中国をバッシングし、来年米中関係がよくなったら?左派の人がよくいうように、「アメリカは梯子を外す」かもしれません。そうなると、日本は、アメリカなしで中国と対峙することになる。尖閣は、奪われるでしょう。

6.日本が強気の反中だと、アメリカは「バックパッシング」したくなる。

アメリカに限らず、大国は自分で戦うことを好みません。たとえばアメリカは、プーチン・ロシアが嫌い。で、どうするか?「手下」を使って、ロシアにぶつけるわけです。

たとえば08年8月、ロシアーグルジア戦争が起こりました。当時、グルジア(現ジョージア)の大統領は、アメリカ傀儡サアカシビリさんだった。彼が戦争をしたせいで、グルジアは、アプハジアと南オセチアを失いました。アメリカは、グルジアを軍事的には助けてくれませんでした

2014年2月、ウクライナで革命が起こり、親米反ロシア政権が誕生した。ロシアは3月、クリミアを奪い、ウクライナ内戦がはじまった。アメリカは、傀儡ウクライナ政権がクリミアを奪われたとき、クリミア奪回には動いてくれませんでした

「バックパッシング」とは、「自分で敵国と戦わず他国を敵国と戦わせること」をいいます。アメリカは、ジョージアやウクライナを、ロシアと戦わせた。ジョージアやウクライナはアメリカの駒です。ジョージアはアプハジア、南オセチアを、ウクライナは、クリミア、ルガンスク、ドネツクをそれぞれ失った。

日本が、アメリカを見習って、中国バッシングをはじめた。アメリカは、「いいぞいいぞ!どんどんやれ!」となり、日本をとして使いたくなるでしょう。戦略的に、こういう位置に立たされることは避けた方がいい。ですから、日本は、中国に対してもアグレッシブであってはなりません

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