在NY18年で身に沁みた、日本人社長の「自分はナニ人?」感覚

 

つい出てきてしまう自分の中のアメリカ

僕は「THE 日本人」だと、自身では思っています。

前述したように、在米18年と言っても、アメリカ社会に深く入っているわけではないし、仕事がら話す人間は9割方日本人だし、テレビも日本語チャンネル、食も日本食、妻も埼玉出身の純日本人です。英語も得意ではないし、仕事がら日本語の文章を書くし、エイミーシュマーのスタンドアップコメディより、渡辺直美のものまねダンスの方が笑えるし。

なので、僕はたまの日本出張に行っても「アメリカかぶれ」、もしくは「アメリカナイズされた嫌な奴」には、絶対ならないと自信はありました。空気を読まない性格は、もともと日本にいた頃からなので、KYはアメリカ在住という経歴とは関係がない。それでも、18年という歳月は短くはなく、知らず知らずのうちに、自身の中の「アメリカ」がたまに出てきてしまうこともあるようです。

親しい人にもハグはしちゃダメですよ、コンビニに「こんにちは~」って言いながら入っちゃダメですよ、映画館で前の座席に足かけちゃダメですよ、電車内で大声でしゃべっちゃダメですよetc.…このあたりは、出張前に必ず社員より注意されます。かなり気をつける。

それでも、どうしても「言葉」だけは、無限にあるので、注意する対象としてはキリがありません。これはそのつど気をつけるしかない。会話の途中で、英単語を入れないようにする。こればっかりは、どんなに気をつけても、無意識下なので、気をつけようがない。18年という歳月は、日本人との日本語の会話の中で、英単語を混える人を「ルー大柴か」とむしろイジル側だった僕自身に、どうしても、英単語を混じらせてしまう

それは、その英単語が、すでに、日本で市民権を得ているかどうかを知らないからです。特に、僕の故郷である瀬戸内海の田舎では、かなり敏感にみんな反応します。先日の里帰り時。中学時代の先輩、同級生、後輩が、僕の帰省に合わせて、飲み会を開いてくれました。すでに会場の居酒屋にいる先輩から電話がかかってきます。

「おめえ、足ねえけど、どうやってくるん?(おまえ車じゃないけど、どうやって来るの?)」その問いに対し、「まさしにピックアップしてもらうから、大丈夫だよ」と答えた時のことでした。「はぁ?わりゃあ、なにいいよんなら!(君、何を言ってるんですか?)」電話の向こうの先輩はなぜか怒っています。「だから、まさしにピックアップしてもらうから、大丈夫だよ。先輩、待っててよ。わざわざ迎えにこなくていいよ」と説明すると、「いま、なんよったんなら!?お!?ぴっくあっっぷって、なんじゃこら!」

print
いま読まれてます

  • 在NY18年で身に沁みた、日本人社長の「自分はナニ人?」感覚
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け