在NY18年で身に沁みた、日本人社長の「自分はナニ人?」感覚

 

あー、そこか、と思いました。どうやら僕の生まれ故郷には、まだピックアップという言葉が浸透してきていない。「拾ってもらうってことだよ」と説明します。「おいおい!眉毛剃って、喧嘩ばーしょった奴が、なにを今になって、えいご、言いよんんなら、なにがぴっっくあっぷじゃ!お!?」コーフンする先輩に、ひととおり説明して、なだめ、「いや、だから、大丈夫だって、まさしはそのまま帰るから、店の前でドロップしてもらうし」「ど、…?どろっぷって、飴のことじゃろが!」……ふりだしです。

遅れてお店に到着すると、すでに集まっていた昔の仲間から、拍手で「おー、帰ってきたで、ミスターぴっっくあっぷが!」と爆笑しながら、迎えられました。なので、なるべく、頭の中で、英単語を入れないよう、入れないよう、喋るのですが、そうかと思えば、逆に、僕の渡米している間に、市民権を新たに得た英単語も存在するので、余計、混乱してしまいます。

東京でのこと。一緒にイベントを企画するプランナーに、英単語が入らないように慎重に説明します。「同業からの苦情は出ないですか、なんていうか、その、規約上の違反行為とまでいかずとも、業界間の…暗黙のルールというか、その、なんというか、取り決めとまでいかずとも、その……」必死で日本語だけで説明する僕に、ひとこと、「あ。コンプライアンスのことですか??」

ええ!それはオッケーなの!!!?「コンプライアンス」はもう使っていいの?

もちろん僕の渡米前はまだ市民権を得ていない言葉でした。つまり、渡米後に普通に日本で使われるようになった英単語まではいちいち把握できない。そうかと思えば「ピックアップ」はまだダメだったり。(うちの田舎だけか・笑)

そういえば、「バイアス」も日本のビジネスマンと話すとよく聞く単語です。「バイアスがかかる」とか、彼らは頻繁に使います。意味は、なんとなくしか、僕はわかりません。

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