「男らしさ」の呪縛。DV加害者の心の傷を癒やす方法はあるのか

 

所長 「DV案件は、暴力を振るわなくなったことで終了ではないんだ。パートナーの傷を受け止めしっかりと寄り添うことができるようになること新しい関係を二人で築けるようになることが大切なんだ」

E子 「結局は、人間関係調整力を身につけることが大事ってことですね」

所長 「それらを続けてカウンセリングをすることによって、変化していってもらうってことなんだ。単発のカウンセリング、ヒアリングだけとはかなり違うね」

新米 「長丁場のカウンセリングになりそうですね」

大塚T 「DV案件のカウンセリングのポイントって、他にも気をつけることはありますか?」

所長 「しっかり傾聴するのはもちろんだけど、『加害者の傷』を踏まえ、暴力に至った経緯を責めずに聞き、不安や苛立ち、怒り、悲しみ等の感情を肯定的に受け取めることだね」

新米 「えぇ!?加害者の傷ですかぁ」

大塚T 「加害者にも被害者とは違った、私たちにはわからない傷があるんですね」

所長 「かもがわ出版の『男の電話相談』という本では、5つの傷を理解するように書かれているね。

  • 悪者にされることの傷
  • 加害してしまったことによる傷
  • 加害者を暴力へと追い込む傷
  • 『男らしさ』(プライド)による傷
  • トラウマとしての傷

つまり、加害者は、どこに行っても悪者扱いで、誰も自分の言い分を聴いてくれない、警察だって話も聞いてくれない、誰も助けてくれないという追いつめられた気持ちを受け取める、安心感と信頼感を抱いてもらうことが大事なんだ」

E子 「長年の環境から蓄積された傷があるから暴力を振るうっていうこともあるんでしょうね」

所長 「パワハラには、いろんな背景があるね。単に懲戒処分をして終わり、辞めさせて終わりでなく、本当は、我々も掘り下げて本当の解決をするべきなんだろうね。ハラスメントの奥は深いぞ~」

皆 「ホントに~…」


DV相談のポイント

DV加害者から相談を受ける際の留意点

  • 暴力は容認できないという毅然とした姿勢(暴力は犯罪、その責任は加害者にあり)
  • 相談をしてきた動機を尊重(人格の尊重)
  • 暴力を振るった心境に同調せず、罪の意識や辛い気持ちに共感する
  • 説教や処罰ではなく悩みを受け止める(報復的支援ではなく受容的支援)
  • 被害者に関わる情報は絶対提供しない
  • DVと法と運用の熟知

男DV被害者対応に関わる留意点

  • 出来事、思いをできる限り語ってもらい傾聴する
  • 気持ちに焦点を当て、感情を肯定的に受け止める
  • 自身の傷つき(被害者性)の認識
  • パートナーとのコミュニケーションの振り返り
  • パートナーとの距離感の取り方
  • 孤立しないことのメッセージ
  • 警察への連絡
  • 男らしさの縛りを解きほぐす

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【著者】 イケダ労務管理事務所 【発行周期】 週刊

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