ファーウェイを排除しろ。米政府がソフトバンクに出した「警告」

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突然のCFO逮捕劇で世界中に広がりを見せるファーウェイ製品排除の動き。そんな「ファーウェイショック」の火の粉を思わぬ形で浴びてしまっているのが、孫正義氏率いるソフトバンクです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で世界的エンジニアとして知られる中島聡さんが、米国内でソフトバンクが立たされている苦境、そしてスパイ映画さながらの米中サイバー戦について詳しく記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2018年12月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじまさとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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Air Hockey-Playing Robot Shows How Huawei Haunts T-Mobile’s Sprint Deal

ファーウェイのCFOが逮捕された件が、これまでにない規模の米中の経済戦争の始まりを意味するのかも知れないという指摘は少し前にしましたが、その飛び火のような形で、SprintとT-Mobileの合併に懸念を示す声が米国政府内に出ている、という報道です。

ソフトバンクはスプリントを買収したのち、T-Mobileの買収をも計画していましたが値段で折り合わず、結局、主導権をドイツテレコムに渡す形での合併に合意し、進めて来ました。

しかし、ここに来て、米国政府が米国内の無線通信ネットワークのインフラにファーウェイの通信機器を使うことに大きな(国防上の)懸念を示しており、5G無線通信網の構築に関してファーウェイと近い関係にあるソフトバンクが影響力を持ったままスプリントとT-Mobileを合併させることには問題があると見ている人がいるのです。

この裏には、米国国内だけでなく、日本を含めた同盟国の通信ネットワークからファーウェイを締め出したいという米国政府の強い意向が働いているのです。ソフトバンクに対し、「既存の4G無線通信網で使用しているファーウェイの通信機器を置き換えろ」「5G無線通信網の構築にはファーウェイの通信機器を使うな」という指令が日本政府経由で届いているのです。

先日、日経新聞が「ソフトバンクはファーウェイの通信機器を置き換えることになった」という記事を書き、それをソフトバンクが否定するという不可解なことが起こりましたが(参照:Japan’s SoftBank to shun Huawei in favour of Ericsson, Nokia equipment – Nikkei)、これは経産省が、交渉中なのにも関わらず、わざと日経新聞に情報をリークし、(通信機器の置き換えを)既成事実化してしまおうとしたものだと解釈すれば納得がいきます。

そんな駆け引きが米国政府とソフトバンクの間にあることを考慮すれば、今回の話は、「素直に従わなければスプリントとT-Mobileの合併を御破算にするぞ」という米国政府からソフトバンクへの警告であると解釈して良いと思います。

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