米朝首脳会談決定も、交渉のプロが「成果は出ない」と断じる理由

 

昨年に降ってわいてきたような米朝急接近までは、実は、習近平国家主席は北朝鮮を無視している感じがあったのですが、北朝鮮が自らアメリカと交渉することを良しとせず、ロシアが乗り出してくる前に、方針転換をして、金正恩氏の取り込みを急いだようです。

実際に、まだプーチン大統領と金正恩氏の面会は成立していませんし、北朝鮮とアメリカの“交渉”については、ロシアは表立って口出ししていないため、中国の目論見は当たっているようです。

では、仮に米朝首脳会談が不発に終わり、朝鮮半島にアメリカからの攻撃が行われそうになった時、中国は北朝鮮の後ろ盾としての役割を保つでしょうか?残念ながら、それはないと見ています。

その理由は、中朝国境に最精鋭の部隊を配置し、有事の際に北朝鮮からの難民が中国領に流入してくることを力でもって防ぐという姿勢が崩れないからです。

以前にもお話しましたが、仮に米朝首脳会談が物別れに終わった場合、諸々の理由が合わさって、トランプ大統領は北朝鮮への攻撃を指示する可能性が一気に高まります。その場合、朝鮮戦争時と全く異なり、ミサイルによる攻撃となりますので、中国が、北朝鮮の後ろ盾として対抗する術も、そしてそれだけの理由も存在しないからです。

そして、同時に、今年初めに習近平国家主席が異例の指示を軍部に出したお話もしましたが、可能性は低いとは思いますが、アメリカとのいざこざの可能性の一つとして、武力衝突も視野に入れるという内容でした。これは、南シナ海での衝突を想定しており、決して、朝鮮半島での衝突を前提とはしていません。

アメリカからの北朝鮮攻撃の際には、外交的に非難こそするでしょうが、巻き添えになることを避け、力を温存すべく、実際には北朝鮮を見捨てることになるのでしょう。ゆえに、一見、相思相愛に見える中国と北朝鮮の関係は、完全にまやかしであろうと考えられます。そこが、韓国から北朝鮮へのラブコールと異なるところです。

print
いま読まれてます

  • 米朝首脳会談決定も、交渉のプロが「成果は出ない」と断じる理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け