炎上した南青山で老舗スーパー閉店。「買い物難民」報道は本当か

 

「不動産価値が下落する」と児童相談所の建設に猛反対した南青山住民たち

一方で、骨董通りの小原流会館の裏にあたる、約3200平方メートルの敷地を国から払い下げ、港区が児童相談所、子ども家庭支援センター、母子生活支援施設を一体化させた「港区子ども家庭総合支援センター」を2021年にオープンすると発表すると、すぐさま住民の一部から反対運動が表明された。

「保育園落ちた。日本死ね!!!」という匿名のブログが話題となり、国会でも論議されたことがあったが、住民の反対で保育園がつくれないケースが各地で起きているのが現状だ。

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日本全体が少子化なのに保育園を設置しなければならない地域は、例外的に人口が増えている地域である。そして、子供の多くは新しく入ってきた住民の子女であり、見知らぬ人は排除したいのである。

女性も仕事を持って働く時代には、行政も一体となり、旧住民も新住民もなく地域社会で子供を育てなければならないのだが、残念ながら、日本ではまだそういった認識が広がっていない。

反対運動として「青山の未来を考える会」という団体があるが、考える会のホームページより、考える会から区への質問状を読むと、同センターが虐待を受けている子供や非行少年・少女、生活に困窮する母子の居住をサービスの一環として有していることを問題視している。要は、同センターの子供が、地域の小中学校に通うと、ガラが悪くなるのではないかと懸念しているのだ。

「港区子ども総合支援センター」完成予想図

「港区子ども総合支援センター」完成予想図

本当にお金を持っている人は、お受験で子供を私立に行かせると思うので同センター入居者との接触もなさそうなのだが、考える会の事務局はグリーンシードという南青山の不動産会社が事務局になっている。ガラが悪い人が増えると、地域の魅力が減って不動産価格が下落するのではないかと不安視しているのである。

昨年5月に児童福祉法改正により、特別区でも児童相談所を設置することが可能になったので、港区としては切れ目のない子育て支援を実現したいと考えている。

港区の人口は、1959年は26万人ほどまで伸びたが、ドーナツ化のためその後減少が続き、96年には15万人を割った。しかし、この年で底を打って都心回帰のため増加に転じ、19年1月1日現在では再度26万人まで戻している。過去10年で6万人増えている。赤坂地区総合支所管内でも2万9,000人から3万7,000人に増えているが、近年の傾向として、青山通りでベビーカーを引いた人を数多く見かけることだ。

青山通りではベビーカーや電動自転車の往来も多い

青山通りではベビーカーや電動自転車の往来も多い

「港区子ども家庭総合支援センター」予定地のすぐ裏にあるおしゃれなリゾート風地中海料理レストラン「CICADA」のテラス席もベビーカーが目立つ。

考える会とグリーンシードは、もはや青山が子育ての街として活性化してきていることを見て見ぬふりして、ひたすらアパレル、美容院、カフェやレストラン、雑貨屋、アーチストのオフィスのような商用のおしゃれなビルばかりが増えていた、少し前までへと時計の針を戻したいのだろう。

しかし、子供が増えればどうしてもさまざまな解決すべき問題も起こってくる。今の人口増、子供増の港区では、子育て支援施設こそ最も予算を注ぎ込み一等地に建てるべき施設なのであり、それを正しく行っているだけにすぎない。

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