4月21日にスリランカで発生した連続爆破テロに対し、各国から哀悼の意とテロ撲滅の声が上がる中、中国の新聞が理解に苦しむ社説を掲載しました。台湾出身の評論家・黄文雄さんはその内容について「テロをウイグル族弾圧の正当化に利用している」と批判。さらに習近平政権がウイグル族やチベット人に対して行っている非道な扱いを、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で明らかにするとともに、中国がそのような行為に走らざるを得ない理由を記しています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年4月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【中国】スリランカのテロをウイグル弾圧に利用する中国の姑息
4月21日、スリランカのコロンボなど3都市のキリスト教会など8施設で爆破テロが起こり、現時点で290人もの死者を出す大惨事となりました。日本人も1人の方がお亡くなりになったことが発表されています。
今年3月にはニュージーランドのクライストチャーチで、イスラム教礼拝所であるモスクが反イスラム主義のオーストラリア人に襲撃されて100人以上の死傷者が出る事件が発生しており、「イスラム国」が報復を呼びかけるメッセージを出していることから、犯人はイスラム過激派が濃厚とされています。
この事件を受け、人民日報系の「環球時報」はさっそく、中国がいかに宗教的な過激主義の押さえ込みに成功しているかということを、社説で強調しました。
社説では、欧米諸国は西洋での宗教的過激主義には警戒するものの、一部の途上国における宗教的過激主義への厳しい対応について「自由」「民主主義」を持ち出して批判しており、混沌とした状況をもたらしていると批判しています。
ここ数年、中国におけるウイグル族への弾圧が国際社会で問題視されていますが、そのことを暗に指して、自分たちの行為を正当化しようとしているわけです。
「中国はここ数年、宗教的過激主義の国内への影響を排除してきた。これまでに中国の一部の過激分子は、中央アジアや西アジアでイスラム国建設に加わったりしたこともあったが、中国当局の厳格な統制によって、海外から宗教的過激主義が侵入することを防いできた」
と胸を張り、さらには「中国ではテロ活動が大幅に抑制されている。西側諸国が何を言おうと、その事実が雄弁に物語っている」という主張で締めくくっています。
3月に開催された全人代では、習近平政権は「宗教の中国化」を掲げて、すべての宗教を共産党指導下に置いて統制を強化する方針を打ち出しています。