重度障がい者3人の「訪問講義」を取材。学びの意欲に応えるには?

 

東京都清瀬市では40代後半の女性が、私が来るのを緊張した様子で待っていたという。どのように自己紹介したらよいのかと思案し、結局は私が到着しても、その自己紹介文の構成中で「自分を知ってほしい」という思いが伝わった。

ヘルパーが会話の補助もしてくれていて、壁には韓国の俳優や歌手のさだまさしのポスター、となりのトトロのぬいぐるみ、そして「赤いバッグ」を買うのが趣味とのことで、横になった時の目線の先に見えるように、その赤いバッグが並べられている。

この日の授業は元特別支援学校教諭が用意した電子顕微鏡でハエやたまねぎの細胞を見る、との内容だ。科学の実験はドキドキ感があって面白い。見えた瞬間に私やヘルパーから歓声が上がり、ベッドに横たわるこの女性も笑顔がはじける。

今回紹介した3者はそれぞれ日常生活には介助が必要な重度の障がいがあるものの、「学ぶ」ことには意欲的で現在、学習支援のボランティアが行う2週間に1回程度の約120分授業よりもさらに授業を受けたいと望んでいる。

それは権利としても成り立つし、必要であると考えている。どんな形でそれがなしうるのか、ここからが知恵の出しどころだ。

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特別支援教育が必要な方への学びの場である「法定外シャローム大学」や就労移行支援事業所を舞台にしながら、社会にケアの概念を広めるメディアの再定義を目指す思いで、世の中をやさしい視点で描きます。誰もが気持よくなれるやさしいジャーナリスムを模索します。

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