「すごく」の言い換えでよくわかる。話し言葉の語彙を増やすコツ

 

では、具体的には、どういう言い直しができるのか?考えていきましょう。私たちがより的確な表現を求められたり、自分自身がそういう欲求を感じたりする場面で、おそらくもっとも多いのは、度合いの違いを言葉で表現すること、だと思います。

簡単に言うと、「どれぐらいか」の違いを言葉で表すことです。イメージしてみてください。どんな場面が思い浮かびますか?「コンサートが良かった」、「庭のひまわりの丈が伸びた」、「料理がおいしかった」などなど。

そのようなときに、私たちが多用しているのは、まずは修飾語を付ける表現だと思います。なかでもついつい何気なく、頻繁に使ってしまうのは、「とても」や「すごく(すごい)」ではないでしょうか。その度合いが高いことを表現するのに、使い勝手が良い言葉ですよね。

さらに、現代においては、度合いが高いことを、より強く印象付けるために、強調の性質を持つ接頭語が、目覚ましく発達しています。超、神、鬼、激、爆、マジ…など。

付けるだけで簡単に強調表現できるこれらの語が、多用され、さらに新しい言い回しが生まれ続ける理由は、人間だれしも、自分の気持ちを強調して伝えたいですし、前よりもっとすごいことが、開発、発見、改善…され続ける、人類の発展そのものを反映しているとも言えるでしょうね。

もちろんこれらも、表現のバリエーションになり得るのですが、あくまで、とても、とか、すごく、を強めただけですので、子供っぽい、単純な強調表現に聞こえてしまうことは否めません。大事なのは、その、「とても」とか「すごい」などの度合いの微妙な違いを、別の言葉で言い換える、表現の持ち駒が要るということです。

そこで次に考えられるのは、その修飾語自体の類義語に言い換える方法です。「すごく」だけを取ってみても、すばらしく、目ざましく、凄まじく、驚異的に、見事に、最高に、非常に…など、いくらでも考えられます。

どれも簡単な言葉ばかりですから、話す時の語彙に加えるのは簡単なはずなのですが、類義語を話し言葉の語彙のバリエーションに追加していくのって、意外に、なかなか進まないんです。

一番簡単な表現と比べて、音韻の構成が全く異なるため、類義語を思い出すより、一番簡単な表現を強調するだけのほうが、楽だからです。

庭のひまわりの丈が、驚異的に伸びた、と、話の途中で驚異的という言葉を思い出すより、庭のひまわりの丈が、マジハンパなく伸びた、と、強調するだけの方が楽なんですよね。

ただ、類義語のバリエーションを持っていると、話し言葉の様相、雰囲気がぐっと理知的になりますから、話し言葉の語彙を増やす正攻法としては、類義語のバリエーションを持つことをオススメします。

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