ルーティンは代わり映えしないことの繰り返しなので軽視されがちですが、実際には「生きる土台」を作る大切な行為です。人間は生物学的に、周期性、規則性のある行動を好む傾向があるため、1日のリズムがあることで肉体的にも精神的にも安定します。と同時にルーティンがあるからこそ「自分はこのグループの一員だ」という自覚が芽生え、居場所の獲得につながります。ルーティンは人の生きる力を高め、ストレスに対処する力も向上させます。
例えば、「朝ご飯は、必ず一緒にとる」というルーティンを大切にしている家庭の妻は夫への満足感が高く、ストレス対処力が高く、家族のメンバー全員の人生満足度が高いことがいくつもの研究で確かめられているのです。
こういったルーティンの役割を鑑みれば、前述した高校生の退学理由、「遅刻や欠席=ルーティン」と「友達関係=孤立」は密接に関係するだけではなく、その後の人生にも強い影響を残すことは明らかです。
思春期での人間関係は、人の生きる力の骨組みの重要な“成分”のひとつなのです。
異なる能力、異なる価値観、異なる立場の人たちが、同じ目標の下、一緒に汗を流し、涙を流し、互いを認め合うことができた時、初めて“仲間”になります。均一でない個の集合体だからこそ、一人では決して手に入れることのできない大きなものを手に入れることができる。
高校で「授業に励む」「クラスメートと同じクラスで、同じ時間に勉学をする」経験はかけがえのないルーティンです。
大学がもはや就職予備校化している懸念は、何度も指摘してきましたが高学歴化が進む中で高校の役割とは何なのか?
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※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年11月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。